福島第一原発事故発生により、高濃度の放射能汚染水が溜りその処理を始めた途端、僅か5時間で想定より早く基準の放射線量に達したため、装置の運転を停止した。他にも汚泥が溜りその保管場所が少なくなり新たな保管場所を探している。
一方各地に放射能が流れ飛び、あちこちにホットスポットと云われる放射線量の多い地区が見られるとして、各地の自治体でも放射線量を計り出した。来る海水 浴シーズンを目前に太平洋岸の海水浴場でも放射線量を計測し始めた。もう放射線ショックで、東日本中が浮き足立っている。
先日イタリアで国民投票により「脱原発」が決定したことは周知の通りである。精神的にも不安定な状況下で、今日海江田万里・経産相は停止原発の再開を要請 した。福島原発事故の教訓を踏まえて原子力安全・保安院が電力会社に指示していた各地の原発の緊急安全対策が適切に実施されていることを受けて所轄大臣要 請となったらしい。
海江田大臣は一体何を考えているのだろうか。今は緊急安全対策が実施されているか否かを問うている場合ではない。今回の想定外の事故だって、一部には人災 との声も聞く。今は対策云々ではなく、これからの日本にとって原発が必要不可欠なものかどうかを、国民的テーマとして広く国民の意見を募り、議論を戦わせ て結論を出すべき時ではないだろうか。まだ福島事故の収束の見通しも立たず、ましてやその検証もせず、次の段階へ進むのはあまりにも不見識だと言わざるを 得ない。経産省が電力会社や一部の御用学者とグルになって原発再開を急ぐようなら、むしろ大臣は待ったをかけるのが筋ではないだろうか。
幸い原発を抱える自治体では、現状では政府の対策が不充分として再開には慎重である。
しかし、原発は危険なものであり、今回の事故により人力の及ばない点があることもはっきりした。甚大な被害にも散々懲りたはずである。ならば、一歩も二歩も引いて、謙虚にまずは、国民世論を問い、それに従って行動するスタンスが求められるのではないかと思う。