東日本大震災に関する作業、中でも福島原発事故、被災者避難、復興問題が収束へ向けて一向に前進しない。政治が まったく機能しないからである。中国・上海のメディアに「経済一流、官僚二流、政治三流」と皮肉られる所以である。問題山積の法律成立もすべて止まったま まだったが、漸く復興基本法が成立した。内閣に復興庁を設置することは決まったが、実施されるまでは前途多難である。しかも、これはあくまで枠組みが決 まっただけで具体策はこれから決める。すでに震災後100日も経過している。何とまあノロマばかりなのか。被害の酷かった南三陸町長はもっと早くと言い、釜石市長は遅すぎと言い、飯館村長は「今何が必要なのか、現状に即したスピーディな対応を」とスローな対応に苛立ちを募らせている。
その一方で、今日福島第一原発に溜っている高濃度の放射能汚染水の浄化処理施設を試験中に除染装置のポンプが停止した。昨日は放射能の計測値が異常に上 がって作業開始から僅か5時間で停止した。この浄化処理施設はトラブル続きだが、前者は原子力技術に関しては絶対の自信を持つ、名うてのフランス・アレバ 社製であり、後者はアメリカ・キュリオン社製で、いずれも外国製である。日本の科学技術が優れ、科学技術の研究者が世界で一番多く科学技術レベルが最も高 い日本の製品をなぜ採用しないのだろうか。今回の事故発生と同時に非常用発電機が使い物にならなかったが、これもアメリカ製である。どうしてここまで外国 社製に頼らなければいけないのだろうか。
それにしても、汚染水が満杯になりそうなのに、この始末である。まったくいつになったら国民を安心させてくれるのだろうか。
さて、今日駒沢大の公開講座の2時限目に共同通信出身の片山正彦講師が、通信社というものについて分り易く説明してくれた。通信社の沿革と歴史、そして現状、問題点等について話してくれた。世界の大通信社とは今までロイター、AP、UP、UPI等 だと考えていたが、実際はそうではなくアバス(仏)、ウォルフ(独)、ロイター(英)が3大通信社と知って意外な感がした。経営も徐々に通信情報から経済 情報に移り、ロイターでも通信情報は全体のほんの1割程度だというから時代も変わったものである。今やこの業界でもITの寵児・ブルームバーグが頭角を現 しているそうだ。尤もいまのIT時代を考えれば、そうなのかも知れない。
アバスの特派員として戦前日本に派遣されたのが、ゾルゲの仲間で山崎洋さんの父・ブーケリッチ氏であり、それを片山講師に話したところ驚いていた。しかも片山講師が取り組んだ卒業論文がゾルゲ事件の尾崎秀実だというから、更に驚きである。
駒沢大の講座も前回より更に面白くなってきた。