1499.2011年6月23日(木) 沖縄・慰霊の日に思う。

 沖縄慰霊の日である。終戦の年の今日沖縄の地上戦で日本軍の組織的戦闘が事実上終結した。沖縄全戦没者追悼式に 出席した菅首相は、「沖縄だけ負担軽減が遅れているのは慙愧に堪えない。負担軽減と危険性除去に最大限の努力をする」と述べた。もちろん菅首相だけの責任 ではないが、この言葉を聞いていると何か虚しい気がしてならない。あれだけ沖縄県民が辺野古移転を反対している中で、昨日日米外務・防衛閣僚会議 (2+2)で、アメリカが要望していた辺野古のV字型滑走路を日本は期限を1年先延ばしにしながら実際には認めてしまっている。しかも、北澤防衛相は訪米 前に仲井真知事に会い、知事から強い拒絶反応を受け止めながらその場を離れれば背任的な言動をしている。こんなことでよくも沖縄県民に対してはもとより、 政治家として、また自分自身の良心に対して何も咎めることはないのだろうか。
  いずれにせよ、沖縄県民は政府の言うことを最早信じてはいないだろう。だが、基地問題が解決に向うわけではなく、沖縄県民に言わせれば悪くなる一方であ る。これではもう政府を信用できず、無力感や脱力感が漂うばかりである。アメリカは極東地区の安全保障のためには沖縄周辺の防衛力を減殺させることはでき ない。そこへ近年中国軍が東アジア海域で露骨な示威活動を始めて周辺国とトラブルが堪えない。アメリカが防衛力を強化しようとするのは、中国軍、特に中国 海軍に対する抑止力を高める狙いがある。そうだとすれば、沖縄周辺は中国と相対するアジア諸国にとっても安全保障上重要な防衛圏である。アメリカにとって はアジアの安全保障上防衛拠点としては、今や沖縄はもっとも重要な基地となってしまった。
 問題は何か。今問題になっている基地問題について、沖縄県民以外に基地反対を唱える国民が非常に少ないことではないだろうか。かつての60年 安保闘争を持ち出すまでもなく、国民運動の低調が気になる。例えば、沖縄県外の大学生なんて沖縄問題を真剣に考えたことがあるだろうか。結局身につまされ なければ、誰も自分たちの問題として真剣には考えなくなっている。これは政治家のありようがもたらした問題であるが、マス・メディアの責任も大きいと思 う。今メディアは一番動いているようで、一番手を抜いているように思える。伝えるだけで、まったく批判精神を失っているからだ。また、弱者の視点が欠けて いる。メディアは世論をもっと幅広くすくいあげ国論をリードするようでなければ、存在する意味がない。
 もっと沖縄県民の目線に立った報道をしないと、いずれメディアは自らの首を絞めることになるのではないか。

2011年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com