3340. 2016 年7月5日(火) テロ犠牲者の中に高校の先輩が

 バングラデッシュで殺害された日本人犠牲者7名の遺体と負傷者が、今朝遺族とともに政府特別機で羽田空港へ還って来た。空港には岸田外相、北岡伸一・JICA理事長、バングラデッシュ駐日大使ら関係者が厳かに出迎えた。バングラデッシュのインフラ整備のために献身的に仕事をして、挙句の果てに銃で相手国のならず者に殺されたのでは堪ったものではない。殺害された7人のそれぞれの友人や勤務先の同僚の話を聞くと、損得なしに使命感を抱いて発展途上国のために尽くして来たことが感じ取れる。とにかくあまりの無慈悲と理不尽に呆然とし虚しい気持ちに捉われる。

 最年少の女性は27歳で、人生の終止符を打たなければならなくなった。まだまだやり残したことも多く、とても悔いのない人生だったとは言えまい。それは遺族の談話を聞いていても分かる。その中で80歳の最年長犠牲者となった、田中宏さんについて兄がメールで知らせてくれた。田中さんは高校の先輩で、兄は1年後輩で私が2年後輩に当たる。母校湘南高校は今年創立95周年を迎えたが、その記念名簿に確かに田中さんの名前が載っていた。私より2年先輩だったのだ。北大理系を卒業後旧国鉄に入社し、その後も鉄道技術の専門家として活躍しておられた。高校時代に顔を合わせていたかも知れない。3年後にラグビーワールドカップが日本で開催され、その翌年には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。さらにその翌年、5年後は母校の創立100周年の記念すべき年を迎える。同窓会やクラス会で友人に会うと、創立100周年式典に招待されるだろうからその時点で83歳になっているが、皆で母校の発展を喜び、祝おうと言い合っている。それが健康を維持するひとつの秘訣とも生きがいとも思っている。

 それにしてもこれまではテロリストとか、過激派集団のメンバーは組織の広報活動により、やや貧しい生活階層から多くの若者をリクルートして集めていた。だが、今度のテロでは主役を演じたのは20歳前後の若者で、比較的インテリで裕福な家系の出身者である。恵まれた生活を送っていた彼らが何ゆえに罪もない彼らの国の発展のために活動している外国人を殺さなければならなかったのか、とても理解できない。犯人のブロマイドを見ると優しそうで、笑顔で育ちの良さが窺える。何を血迷ったのか、いずれ明かされるだろうが、国の社会組織の中に大きな矛盾が潜んでいたことは間違いないだろう。

2016年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com