1522.2011年7月16日(土) 原発関連ニュースで良いことはひとつもない。

 菅首相が記者会見での自らの脱原発発言に対して、昨日衆議院予算委員会で弁明のような発言をした。つまり前日述 べたばかりの「脱原発依存社会を目指すべき」との真っ当な発言は政府の統一見解ではなく、個人的な願いだと言い訳がましく首相自身によって修正される有様 である。そこへ今度は高木義明・文部科学大臣の、高速増殖原型炉「もんじゅ」の開発中止を含めて検討するとの発言が槍玉に上がり、大臣はこんな発言はして いないと否定した。言った言わないと、どうしてこうも神経質に取り扱わなければならない問題の、一番気になる点を深く考えることもなく、軽々しく口を滑ら せるのだろうか。これは口が軽いなんて問題ではなく、自ら然るべき責任ある職には自分は不適任だと言っているようなものだ。
 やらせメールによるお騒がせ事件を起した九州電力でも、真部利応社長が14日に続投と居直ったが、これだけ世間を騒がせた責任を執るべきだと海江田経産相から詰め寄られ、辞任の覚悟を決めたようだ。この国策会社も無責任体質丸出しで、世論に対してKY的だった。どいつもこいつもてんで話にならない。
 さて、昨日ラグビー部の後輩、矢田健一さんから藤田祐幸氏が長崎で行った講演の動画「You tube」 を観るようにと親切に教えてくれた。先月ペンクラブ環境委員会のセミナーで配布された、電力供給量は需要を超えている(原発なしでも電気消費量を賄える) との資料を作成された人である。慶大理工学部助教授だったとは知らなかった。1時間半の長きに亘って図を示しながら淡々と原子力の恐さを説明される。震災 2週間後の講演だが、すでに4年前に浜岡原発、東海原発の危険と放射能汚染を心配して神奈川県三浦市から福島から一番遠い長崎県西海市へ自宅を移して、そ こを拠点に全国各地で脱原発の講演活動を行っている。チェルノブイリへも行かれ、惨状を目撃して、心の底から脱原発を訴えておられる。「スリーマイル、 チェルノブイリの悲劇から学ばなかったのは『愚』、福島の悲劇を繰り返すのは『大愚』である」とか、「終わりでなく、新時代の始まりの始まり」とか、その 感性溢れる適切な言葉には感嘆する。「昨日のように今日があり、今日のように明日がある」と表現して何気ない連続性が幸せの原点と講演を結んだ、スマート な言葉の使い方は中々のもので、分り易いトークに好感が持てた。
 ここへきて新たな原発関係の嫌なニュースが発生している。その最たるものが、肉牛の餌である稲藁から国の暫定基 準を超える放射性セシウムが検出されたことと、畜産農家が出荷した牛の肉から同じく放射性セシウムが検出されたことである。出荷された牛の肉が広範囲です でに販売されているのだ。これでこの周辺の牛肉を買おうとする消費者は当分の間いなくなるだろう。畜産農家はみんな泣いている。気の毒でたまらない。今後 影響が拡大していったら、事態はどうなるのだろうか。
 今日福井県大飯原発で1号機が手動により停止された。手動停止は滅多にないことで危機一髪の事態が想定されたのではないだろうか。ぞっとする。冷却系統に不具合が生じたようだ。日本の原発は一体どうなっているのだろう。

2011年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com