中国は来秋の共産党大会で指導体制が代わると見られている。すでに諸外国への売り込みを始めている習近平・国家 副主席が、胡錦濤・国家主席に取って代わることはほぼ確実である。近年軍事力の急速な拡大とともに、その存在感を強めている軍部も、トップが外交の場へ出 てくることが多くなった。
中国が時の経過とともに代替わりするのは当然であるが、それが世襲制度を益々強めて「太子党」と称される元の共産党幹部の子弟が各分野で頭角を表し、彼ら が国を支配するのは民主化に逆行するのではないかと心配である。元々共産国家に世襲自体馴染まない。現在の中国は中国国民による選挙によって代表者を選ぶ という民主主義の原則を踏まず、共産党の一党独裁の下に、密室の中で支配者を決めているが、これではとても民主的とは言えまい。アメリカ政府を始めEU諸国が、体制批判や民主化運動に対する人権弾圧に非難でもすれば、直ちに内政干渉と抗議して一切受け付けず、一言でも体制批判的な発言でもしようものなら言論封殺によって押さえ込む強権的な体質は、中国を恐怖国家と看做す風評を流布することにならないか。
「選択」7月号によれば、最近の中国指導層に昇格する幹部の中には、悪名高い文化大革命に関わった党幹部の子弟がごまんといるらしい。彼らはかつての天安 門事件、ソ連や東欧の崩壊という体制危機を目撃して、民主化や政治改革を敵視する紅衛兵思想が強い。その太子党の中に、何と劉少奇・元国家主席の息子や、 毛沢東の孫まで含まれているというから驚いた。その他にも中国建国の元勲の子弟が綺羅星の如くいるというのだから、この国の人材育成、人間教育では世襲し か信じられない独裁者の性や心情を育む秘密が隠されているのではないか。こういう太子党が軍の中枢に抜擢され、軍事予算は年々増大し、軍部が力を強めてい く。それが南シナ海への進出につながっているとすれば恐ろしいことである。
今や中国は、そのスケールにおいて北朝鮮やアラブ諸国の世襲国家を圧倒して、世界最大の世襲国家への道を進んでいるというのが「選択」の結論である。他国 のことではあるが、何を仕出かすか分らないお隣の大国・中国をこのままにして、いずれお出ましになるであろう北朝鮮の将軍様のような、毛沢東そっくりな中 国将軍様に引っ掻き回されるようになっては、いつも割りを食っている大人しい日本人としてはたまらない。
さて、今朝世界一の座へ上り詰めた女子サッカー「なでしこジャパン」チームが凱旋帰国した。選手が全員揃って「チームワーク」「絆」「仲間」を勝因として 認めているのが爽やかである。それにしても女子選手のブレザーは何とかならないだろうか。黒一色でまるで喪服のようである。もう少し女性らしい明るく、若 やいだものに出来なかったのだろうか。近年稀に見るほど地味で、「ダサイ」ブレザーだと思う。この黒づくめのブレザーでは、世界一の栄冠を獲得した若い女 子選手たちにとって少々気の毒な気がした。