一昨日ノルウェイのオスロ郊外ウトヤ島で残虐な大量殺人事件があったばかりだが、中国では昨夜高速鉄道の追突に より車両が脱線し、4両の車両が高架橋から落下して多数の死者を出す事故が発生した。中国の高速鉄道の製造とレール敷設工事は急ピッチで進められ、それが 全体計画に無理な皺寄せを生じさせて今回の事故につながったのではないかと推測されている。
とにかく中国は高速鉄道建設のスピードが速い。2005年に工事を始めてその2年後には早くも上海・杭州間で開業した。2010年には営業㌔は7500㎞を超え、2020年にはその距離を更に16000㎞にまで延ばす壮大な計画を持っている。建設計画ばかりではなく、先日はアメリカほかで高速鉄道建設の特許申請をしたとされ、それが日本の新幹線技術のパクリではないかと日本国内、とりわけ開発したJR東海などは神経を尖らせている。つい最近では中国に日本の新幹線用のアニメーションに似せた偽物アニメまで現われる始末で、中国の特許侵害疑念とスピード志向はモラルと安全の両面で疑問を持たれていた矢先である。それが、やはり安全面の懸念が現実となった。
中国には政策実行を急ぐあまり安全面への配慮をなおざりにしないよう願いたい。また、これまでの高速鉄道開発の経緯と完成した車両は誰が見ても日本の特許 を侵害しているのは明らかで、今や世界の大国となった中国が、自己主張を曲げず自己中心的で他から諫言を聞き入れようともしない傲慢な態度はそろそろ考え 直すべき時に来ているのではないだろうか。
さて、長い間テレビ局が「地デジへの移行」PRに努めてきたが、今日正午を期して、アナログ放送 は終了し、すべてデジタル放送化された。「地デジ」などという下品な言葉を恥も外聞もなく平然と使っているテレビ局は、地上デジタル放送が何のために行わ れ、視聴者にとってどんなメリットがあるのか、これまでほとんど視聴者に説明して来なかった。これは視聴者に対して無責任、かつ不親切であり、もっと広く 啓蒙すべきではないかと思う。
今、問題になっている原子力の場合でも、原発開発と推進のプラス面ばかり強調され、そのうえ肝心な原子力に関す る知識については、一般国民に知らせようとして来なかった。それが今後のエネルギー政策を国論として検討を進めようという今、すぐ議論を起こせない原因と なっている。東電もテレビ局も根っ子は同じ体質なのかも知れない。
今まで何ゆえに過大な費用をかけて、現段階で使用可能な機器を無駄にしてまでも「地デジ化」する必要があるのかという議論を聞いたことがない。電力にし ろ、テレビ放送にしろ、国が関わる事業には必ず情報未公開と情報隠蔽がある。これからは国が関係する事業や政策が実行、または変更される時には、国民が注 視できるようマス・メディアがもっと情報を流すことが必要である。
今朝の朝日新聞によれば、「地デジ化」のために総務省が直接投資した費用は2000億円、NHKや民放が各種機材に投資した経費は1兆5000億円に達しているそうである。そのうえ視聴者は旧来のテレビを無駄にさせられ、新規テレビの購入やチューナーの購入に「二重」払いした。
メリットは高画質が得られたこと、地デジ移行で空く電波の跡地に携帯電話用の周波数帯を広げて携帯利用者の増加で混雑している問題を解消することを狙って いるという。だが、この辺りの説明が不十分ではないだろうか。説明不足で無駄な金を払わされているという釈然としない印象である。
国は今国民に対して、責任を果たさないことが多過ぎるような気がする。