1541.2011年8月4日(木) 原発事故関連で経産省トップ3人更迭

 今日の朝刊一面を見てびっくりである。朝日は「原発関連3首脳更迭へ」として松永和夫・経産省次官、寺坂信昭・原子力安全・保安院長、細野哲弘・資源エネ ルギー庁長官ら3トップを首にする記事である。それぞれに事故の対応とやらせメール事件の責任を取らされたことは分る。抜かりがあったことは歴然としてい たからだ。この後で海江田万里・経産相が辞任するようだ。政治が官に優先することは当然で、これについては以前から民主党が公言していた。官としては政治 がだらしなくて皺寄せだけが官に向けられたのでは堪らないとの不満は燻るだろう。ただ、寺坂保安院長には、本人自身やらせメール事件に関わっていたことは 明らかであり、中立であるべき責任者が原発推進へ手を貸したことは言い逃れできないと思う。
  また、もっと悪質でしたたかなのは事務方トップの松永次官のようである。すでに彼の行状については「選択」7月号の「罪深きはこの官僚」で槍玉に挙げられ ている。1頁分のスペースを使って「電力利権擁護に奔走する守旧派の親玉」と決め付けられている。電力業界を守るために何でもやる男と見られている。得意 技は、重要会議のトップに多忙な政治家を据え、実質的な議事進行を経済官僚の事務局が牛耳るように仕向ける手法だそうである。これによって政治の介入を避 けたいとの思惑ではないか。菅首相には悉く異を唱え、自民党と手を組むしたたかさである。これでは菅首相と異見を異にする海江田経産相だって、切らざるを 得ないだろう。
  次に驚いたのは、同じ朝日の「子ども手当て 今年度限り」というもので、民主党、自民党、公明党の3党が合意した。民主党としては総選挙最大のマニフェス トを取り下げるわけである。その裏には赤字国債発行のために特例公債法案を成立させる前提があり、3党間の取引によって与党民主党は最大の看板を下ろした ことになる。これには、子ども法案以前に施行されていた自公時代の児童手当を復活させるとのネゴがある。二つの法案にはもちろん条件も差もあるが、両党の 意向を足して2で割ることにより大きな歪みを生み出さないようにしようとのパッシブな意図が見える。だが、これでは独自性も哲学もないのではないか。3党 ともに政治家として恥ずかしくないと思っているのだろうか。こういう妥協の産物を生み出すようでは、政治生命は終りというのが常識的な考えである。今後政 治にはまったく期待できないということである。
 朝日に対して日経のトップ記事は全面の70% を使って「日立・三菱重工統合へ」とある。かつて、八幡製鉄と富士製鉄、三菱銀行と東京銀行の合併ニュースが報じられた時度肝を抜かれたが、その時以来の ショッキングな経済界の地響きである。2年後の経営統合を目指しているようだが、これが実現すると原子力、鉄道システム、産業機械、IT情報産業までを網羅する世界最大規模の総合インフラ企業となる。売上合計を単純にみても12兆円を上回るそうだから、本当の意味でマンモス企業となる。
 時代の変貌と言えばそれまでだが、久原財閥が起した日立はグループ従業員数でも36万人余で、一方の三菱は元々岩崎家から枝分かれした企業で7万人近い従業員を抱えている。両者の従業員にとっても寝耳に水のニュースに驚いたことだろう。
  その原因は、新興国の台頭で市場が世界に向っているインフラ製品である。これに諸外国のライバルを打ち克つには、国内企業同士で争っているわけにはいかな い。ましてや、強敵であるフランスや韓国企業は、官民一体で強力な売り込みを展開している。さらに、東北大震災により国内市場が縮小する中で海外に出て 行って勝ち取る必要性が生まれてきた。
 従来のようなビジネスモデルが段々通用しにくくなり、あくまで世界を視野に入れたマネジメントを考えていかなければ太刀打ちできなくなっている。
 それにしても政治家たちの内輪の論理と政局がらみは、もう好い加減に勘弁してもらいたいものである。
 さて、一昨日練習中に急性心筋梗塞で意識不明になっていたサッカー元日本代表の松田直樹選手が入院先の病院で亡くなった。若くしてこんなこともあるのかと思うくらいの突然死だったようだ。妻と3人の子どもを残して、まだ34歳の若さだった。ご冥福を祈りたい。

2011年8月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com