66回 目の広島「原爆の日」である。今朝8時広島市内の平和記念公園で記念式典が行われた。松井広島新市長の平和宣言と菅首相のスピーチを聞いた。中でも松井新 市長は秋葉忠利・前市長と同じように核保有国に対して核兵器廃絶に向けたアピールを発信したが、福島第一原発事故をきっかけに「脱原発」を主張するのでは なく、「核と人類は共存出来ないとの思いから脱原発を主張する人々、或いは原子力管理の一層の厳格化とともに、再生可能エネルギーの活用を訴える人々がい るので、日本政府は現状を真摯に受け止め、早急にエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じていくべきである」と述べた。ここにはアピール度の強い メッセージはない。被爆地の広島市長なら前段のような客観的なコメントではなく、こうすべきであるともう少し突っ込んで広島市民の切実な声を全面に、かつ 主体的に訴えるべきではないだろうか。これでは市長の注文も政府に対して強い説得力を持たない。
原子力の危険について一番訴求力のある人が、なぜか遠慮がちのメッセージしか発せられないのは、どこに原因があるのだろうか。これで広島市民が納得するだろうか。
昨晩NHK大越インタビュアーの質問に対して、なぜか歯切れが悪かったが、これでは世界へ向けて核廃絶を訴える被爆地広島の声が伝わらないのではないかと心配になる。
一方菅首相は「原子力に依存してきたこれまでのエネルギーの将来目標を白紙から見直し、依存度の低減を段階的に進めていくべき」と減原発路線を進める考えを述べた。
さて、世界的な株式同時安が経済界を震撼させている。先週日経平均株価が5.4%も下がったが、ヨーロッパではイタリアの13.1%を筆頭に、ドイツが12.9%、フランスが10.7%も値を下げた。
2日にアメリカ議会が債務上限引き上げを承認して落ち着くかと思っていたところ、ダウも5.8%下げている。そんな中で昨日アメリカの大手格付け会社のひとつ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)社が米国債の長期格付けを一段階引き下げた。議会が債務上限引き上げ案を通過させたことから、格下げは避けられるとの見方が多かったが、S&Pは独自の判断で連邦政府の赤字削減は不充分と断裁した。S&Pではアメリカ国債はAA+となり、AAAのフランス、ドイツ、イギリス、カナダなどに追い越されたことになる。因みに日本は中国と同じAA-で、イタリアより一段階上だが、スペインやカタールより一段階下の格付けだというから意外である。
それにしてもここ数日間の株式の乱高下には、日本の経済力以上に日本の政治力が反映されているような気がしてならない。