1551.2011年8月14日(日) 原子力安全庁は独立性を確保出来るか。

 今度の福島原発事故で原発の安全性とそのチェック方法が問題となり、従来のありようについて多くの疑問が噴出した。これまで経済産業省の下に置かれていた 原子力安全・保安院は経産省から切り離され、環境省に所属させられることになった。元々原発を推進する官庁に安全をチェックする組織が所属すること自体矛 盾していた。マッチ・ポンプならぬマッチ・ライターだった。何事も自分たちのやりたいことを自分流に実行することに天才的な知恵を出す役人が、組織が他省 庁へ移管したからとて権限を移譲することに素直に納得してくれれば良いのだが。
  まず、環境省に移った組織が名前を原子力安全庁と変えたとしても、今まで原子力推進派だった役人を経産省から環境省へ移動させることになれば、よほど頭を 切り替えないと以前と変わらないのではないか。仏造って魂入れずである。これまで原子力安全・保安院で原子力業務に携わっていた職員は300人もいた。この他に内閣府から環境省へ所属替えする原子力安全委員会のスタッフも100人 いる。彼らの頭の中には「原発推進」が刷り込まれているのではないか。しかも彼らは原子力の専門家であり、当分彼らの力を借りずして今後の原子力行政も成 り立たないのではないだろうか。その点でも環境省は四六時中、今度の組織移管は規制の独立性確保を目的に成されたという点を言い聞かせていないと元の木阿 弥になってしまう。
  しかも、環境省は元々原発推進派なのだ。2年前に九州電力川内原発増設計画の環境影響評価で何と「原発の最大限の活用を」と求めたことがあるらしい。加え て過去にも温室ガスの排出削減に原発を活用する方針を示してきた。これらを考えると果たして上級官庁として、環境省が妥当なのか疑問の残るところである。
 早急には何がベストか判断するのは難しいが、新しい組織「原子力安全庁」が、なぜ経産省から環境省へ移管されたか、その意味を充分理解することがまず大切である。

2011年8月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com