今月4日の本ブログに日立と三菱重工の合併話に仰天した感想を書いた。実際びっくりしたからで、序にそれまで私にとって予想外の企業合併例として三菱銀行 と東京銀行の合併、八幡製鉄と富士製鉄の合併を挙げたくらい衝撃的なインパクトがあった。事実その日の日経朝刊ではこの合併をトップ記事として紙面の70%を割いて報道し、スーパービッグニュース扱いだった。
ところが、これに関連してあれっと思えるような記事が今朝の朝日に掲載されている。三菱重工の大宮英明社長が朝日記者のインタビューに応じて回答した内容 である。社長は4日の各紙に報じられた合併記事に関して「そのような事実はない。今後その予定もない」とにべもない。そんなことはないだろうとつい詰問し たくなる。あれだけ詳しく報じられた割には平然として、さも心外だと言わんばかりの顔をして「日立との経営統合はない」と断言している。代表取締役が公式 にそう言うなら、そうなのかも知れない。だが、どうしてこういう不可解な事態になってしまったのか。若干ニュアンスの違いはあるが、「相性は悪くない」 「協力できるところとやらないと勝てない」「そういう機会は否定するものではない。GEやアレバとあるかも知れない」等々の発言から察すると可能性がゼロ とは思えないが、まるではた迷惑なような受け取り方のようだ。
それにしても件のニュースが流れてからすでに3週間以上が経過した。この期に及んで全面否定であるかの如き発言をされるのは少々無責任ではないかと思う。 ことは社内ばかりでなく、株主の利益へも及んでくる。可能性がないならなぜ記事が流れた時点で直ぐ行動を起し断固否定しなかったのだろうか。
大三菱ともあろうものが、日立に呑みこまれるようなコメントがお気に召さなかったのだろうか。確かに三菱重工と言えば財閥系の超大型企業でジェット機まで製造している大企業であるが、それでも企業規模から見ると日立の従業員数36万人に比べて、7万人と数において五分の一程度である。
ともかく自社の命運を賭けたような神経を尖らせなければならない報道をしばらく放っておいて、気に食わないから事実無根みたいな発言を社長がするようでは 老舗三菱の名が泣こうというものである。大株主からクレイムがつくのは明白である。お育ちの良いはずの三菱としては、原発設備で日立のライバル社であるGEやアレバとの合併可能の捨て台詞に至っては、三菱の品性を疑われても仕方があるまい。
大三菱辺りの社長でも案外無責任、非常識、認識不足、甘い状況判断、配慮のなさ等々、案外大した人物ではないと分る。
それにしても気をつけるべきは、トップたる者の言動と品格である。