東日本大震災の復興財源をどう捻出するかという話は震災勃発直後のとっくの昔に言い出されたことである。しかしながら、震災後すでに半年を過ぎてもなお財源をどう工面するかが決められない。仮に決めても第3次補正予算が決定して初めて認められる。情けないことにその財源捻出に関して、政府税務調査会は未だに明確に決められないままでいる。先日民主党税制調査会が藤井裕久会長の下で漸く動き出したように見えた。だが、民主党員の中には代案を提示せずに増税に断固反対を主張する議員もいて、これでは何のための税調なのか、まるで税調の体を成していない。議論百出と言えば聞こえが良いが、各人が勝手気ままに自己主張しているだけで、建設的な議論が行われていない。従って当然ながらいつまで経っても結論が出ない。これが未熟な民主党政権の実態である。
現時点では復興増税11.2兆円に対して政府税調は所得税7.5兆円、法人税2.4兆円の他に、住民税と所得控除の見直しで賄おうとしているが、民主党税調は所得税7.5兆円をたばこ税と相続税を併せて7.5兆円にしようの方針を固めたようだ。所得税の割合が大きいことは、若い働き手の負担があまりにも大きいと配慮したからである。まあそれもそうだが、それを主張するなら高齢者の年金からも相応の所得税を支払っていることを考慮すべきではないか。それにその論理を主張するなら、やはり消費税が最も公平ではないだろうか。野田首相は復興増税に消費税を含むことを認めないとの言葉を残し国連総会に出かけたが、その陰で国の財政を預かる‘ベビーギャング’安住淳・財務相は、ワシントンで開催の財務相・中央銀行総裁会議(G20)の合間に来年は消費税を10%にしたいとブレーキの効かない発言をしている。稚拙なベビーギャングに心配された勇み足を早くもやってくれたという感じである。消費税を上げるのか、このままなのか、一体どっちなんだと問いたい。
それにしても被災地の苦しみを知ってか知らずか、政治家の決断はあまりにも身勝手で遅すぎる。その一方で、財務省は批判を浴びていた国家公務員宿舎「朝霞住宅」に国費105億円を投じて、建設に着手した。何とまあ図々しい強欲ぶりか。この官舎建設は事業仕分けで「凍結」を宣告された事案である。自分たちが潤えば良しとする国民無視、震災被災者無視のインチキがまた行われたのだ。財務省は財政再建の旗をふりながら、自分たちには大盤振る舞いをして甘い蜜を舐め、国民には徹底して増税を訴えるという二律背反を平然と行っている。
野田首相は、事業仕分けで「凍結」と判断された官舎建設を、財務省の政務3役(身内ばかり)で判断した結果、真に必要な宿舎として事業再開を決定したとふざけたことを言ったそうだが、身内で決めれば結論は最初から分っている。前財務相だった首相としてはちょっと身内に甘すぎるのではないか。それは首相の本心かと聞いてみたい。ずる賢い役人どもに完全に言い含められているのではないか。
やはりわが国は完全なる役人天国であり、この体質はいくら口を酸っぱくしても直るまい。税金を払うのがバカバカしくなる。