昨日福岡ソフトバンク・ホークスが昨年に続いて今年のプロ野球パ・リーグ優勝を決めた。今年はシーズン初めにもたついたが、シーズンが深まるとともに圧倒的な力を発揮して、5月に入るや勝ち続け、6球団のうちトップでテープを切った。何年か前なら、これでパ・リーグの覇者として、一方のセ・リーグの覇者と日本シリーズで日本一を争うという図式だった。
それがいつの間にか、日本シリーズの前に上位3チームで日本シリーズ出場権を争うクライマックス・シリーズ(CS)という、正当性が感じられない茶番試合をやることになった。こうなるとリーグ3位であっても日本一になれる可能性がある。実際昨年の日本チャンピォンチーム、千葉ロッテ・マリーンズはペナントレースでは3位だった。それが一旦波に乗るやCSを勝ち抜き、日本シリーズでもセ・リーグの優勝チーム・中日ドラゴンズを破り日本一の座に就いた。2つあるリーグの一方のリーグで3位だったチームが日本一となったのである。実際どのチームが強いのか分からない、釈然としないおかしなプロ野球になる。ホークスのパ・リーグ優勝はぬか喜びに過ぎなかった。このシステムだと、仮にペナントレースで勝率が5割以下であっても日本一になれる可能性がある。
こういう摩訶不思議なシステムをどうして実行しなければならないのだろうか。全体の機構、ルールを複雑にして、どこのチームが一番強いのか分らなくしてしまった。実際昨年の日本一チーム・マリーンズが今年はびりっけつである。
この辺りにプロ野球の人気が止まり、収益も上がらなくなった大きな原因があると思う。優勝を目指す喜びに水を挿し、制度を複雑怪奇にして、何のために戦っているのか分らなくしてしまった。プレイする目的が何が何だか分らなくなってしまったのだ。これによってプロ野球はつまらなくなり、自ら身を滅ぼす因を作ってしまった。
昨今のプロ野球は確かに面白くなくなった。その日の試合だけに目を向けることによって、シーズンの長丁場ペナントレース全体に目を向けなくなったら、ペナントレースなんかやる意味がないのではないかと思う。
だが、目先の利益を追う経営者は、そのほとんどが赤字経営だが、プロ野球人気の凋落に目を注がず、抜本的な改革に意欲なく、目先の細事で手のかからないことばかりにお熱を上げる。こうして、プロ野球は益々面白くなくなり、ファンは離れ、経営が行き詰まる。そろそろ気がついて良いはずなのに、性懲りもなくCSを前に浮き足立っている。
これはプロ野球界だけの問題ではない。似たようなことは在野にいくらでもある。こういう奇妙キテレツなパフォーマンスはいずれ立ち行かなくなると思うが、周囲だけしか見ていないといつの間にか本丸をやられているということがある。
プロ野球界もいずれ壁に突き当たり、衰退の道を辿るのでなければ良いが・・・・。