1610.2011年10月10日(月) 辛亥革命から1世紀、中台それぞれの思惑

 今日10月10日はちょうど100年前に中国で辛亥革命が起こった日である。世界史では随分習ったエポックメーキングな事件だ。長く続いた清王朝が倒れ、孫文率いる中華民国が成立した。結局これがアジアで最初の共和国家となった。
 昨日辛亥革命を記念した式典を行った中国では、死亡したと一時噂のあった江沢民・前国家主席が姿を見せた。その場で故錦濤・国家主席は数千年の専制君主制を終らせた革命を評価し、中国共産党が革命の継承者であると述べた。理想を実現するためには中国の特色ある社会主義の道しかなく、核心の力は中国共産党であり、党の指導はあくまで堅持すべきであると、共産主義と中国共産党を高く評価するスピーチを行った。悪い意味の中華思想そのものである。世界でも旧ソ連を始め社会主義国家が崩壊して今や社会主義は亡霊となったし、進境著しい中国の経済も資本主義的思想を取り入れたからこそ成長したのではないか。相変わらずいつに変わらぬ大中国の教条主義である。これでは、いずれ中国も経済発展が止まり、グローバル時代の中にあって孤立していくのではないだろうか。
 辛亥革命を評価する一方で、それを実現した孫文の評価は、1949年共産国家・中華人民共和国を実現させた毛沢東に比べれば遥かに低い。毛沢東の肖像画が天安門広場に掲額されているのに反して、孫文のそれは式典の1日だけである。孫文は蒋介石ともども台湾へ逃れ、台湾では孫文の主唱した三民主義は金科玉条のように崇められているが、現代中国では三民主義は影も形もないと言ってもいい。中台関係は一時より歩み寄りが見られるものの、辛亥革命に対する中台の対応と評価を見ていると、当分の間は「1つの中国」は難しいように思える。
 台湾では今日辛亥革命100周年記念式典を行う。日本からも式典出席のため麻生太郎・元総理が訪台している。中国とは異なる意味合いの祝い方である。日時も1日ずらしている。台湾では双十節と称して1911年の今日を建国の日と決めている。台湾暦では今日が100年10月10日ということになる。私の母が生まれたのは辛亥革命の4日後だから、存命ならまもなく満100歳になるところだ。
  今自家用車用に使っているキーホルダーが台湾所縁のものである。台湾の阿里山森林鉄道に乗車した時、乗車記念として当日の日付を彫ってもらった嘉義~阿里山間の往復乗車券を模したキーホールダーだ。日付は67年1月20日と刻印されている。つまり西洋暦に換算すると1978年ということになる。あの当時阿里山に2度ほど訪れたが、今では随分設備も改善され、環境も変わってしまっただろう。朝早く朝靄の中を阿里山展望台から遥かに玉山(旧新高山、標高3952m)のご来光を仰いだことを思い出す。
  また、もうひとりの辛亥革命の主要人物、蒋介石が亡くなる前に彼の一行と台中周辺で遭遇したことがある。蒋介石の姿を見ることはできなかったが、割合至近距離で黒い防弾ガラスの高級車の2台のうちのどちらかに乗っていた。小高い岡の上には兵士が見張っていた緊張した光景を思い出す。
 今では遥か昔になってしまったが、何とも懐かしい。

2011年10月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com