1612.2011年10月12日(水) スロバキアが欧州金融安定基金を否決

 ギリシャの金融不安からヨーロッパの大手銀行「デクシア」破綻を引き起こした。それに伴いEUはヨーロッパの債務危機の拡大を防ぐため欧州金融安定基金の強化策を講じたが、昨日スロバキア議会がこれを否決した。強化策とは基金の規模を増やしてユーロ経済圏内の金融機関に資本注入したり、加盟国が発行した国債を買い入れたりできるようにすることだ。EU27加盟国ではなく、ユーロ圏(通貨ユーロ流通)内17加盟国のうち、スロバキアを除く16カ国はすでに承認した。ところが、唯一の未承認国・スロバキアが昨日議会で「ノー」の結論を出したのである。原案は全加盟国一致が原則である。こうなるとギリシャ支援策のみならず、ヨーロッパ金融支援策が宙に浮いてしまう。
 スロバキアの反対理由は分らないこともない。他の16カ国だって苦しい中で止むを得ず「小の虫を殺して大の虫を生かす」選択をしたのだ。だが、スロバキア国民は、自分たちより経済規模が大きく金持ちの国を貧しい自分たちがなぜ援助しなければならないのかと素朴な疑問をぶつけたのである。実際EU27加盟国平均の国内総生産(GDP)を100として、債務危機で支援を受けたギリシャが「88」、ボルトガルが「81」に対してスロバキアは遥かに下回る「74」なのである。この数字を見る限り、貧しい自分たちがなぜ金持ちを助けなければならないのかという主張にも一理ある。
 ただ、スロバキアにはあくまで突っぱねるとEU内における自分たちの存在が今後危うくなるとの思惑もあり、近々否決から可決賛成に転じると見られている。事実昨日の否決は、出席議員122人のうち賛成が55人で、残りは反対9人、それに併せて棄権60人というのが曲者だ。虚々実々の駆け引きの末に棄権した野党が次の舞台では賛成票を投じるらしい。
 まあ次の出方により債務不履行や経済停滞が救われ、経済が回復するなら一歩後退二歩前進ということになる。
 スロバキアの首都ブラチスラバを訪れたのは、社会主義体制が崩壊する以前だったが、ドナウ川を渡りバスでハンガリーのブダペストへ向った当時が懐かしい。
 さて、今バンコックが洪水で大変なことになっている。特に、バンコックの北方アユタヤには日系企業団地があり、それらが大きな被害を蒙り、トヨタ、日産、パナソニック、ソニーなどの工場が生産停止に追い込まれて、輸出にも影響が出ている。この世界遺産都市・アユタヤへも何度か行った。あのチャオプラヤ(メナム)川の辺りも人力車で随分彷徨ったこともある。特に、初めて訪れた外国の都市が、バンコックとアユタヤだった。また、新婚旅行も行き当たりばったりにアユタヤを訪れ、スリン空軍大佐の家庭を突然再訪して驚かせたが、歓待され、良い想い出を作ることができた。
 タイのお隣の「私の最も好きな国」ビルマでも動きが見られた。あれほど偏屈に民主化を押さえ込んでいたティン・セイン大統領が、本質は変わらないと思うがどういう風の吹きまわしか、大分軟化したようだ。外国からの経済制裁解除を求めて政治犯をはじめとして受刑者に恩赦を今日実施した。このところアウン・サン・スーチーさんの希望を受け入れたり、北西部のカチン州に中国が建設中のダムを自然環境破壊反対運動派に配慮して工事を中止したり、一時の頑なな姿勢が急激に変わってきたように思う。元々国民性の素晴らしい国だけに、時間はかかるかもしれないが、ビルマの再生を期待したい。

2011年10月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com