今朝のTBS報道番組「サンデーモーニング」で、毎日新聞編集主筆の岸井成格氏が番組終了直前に何気なく漏らした言葉が気になった。実際には実現しなかったが、放射性廃棄物の廃棄場所の候補地として日米両国がモンゴル政府と交渉していたようだ。結局モンゴル政府から受け入れを断られたという。秘かに進められていた交渉だったが、やはりそうだったかと言うべきだろう。途上国へ経済支援を口実に何でも押し付けようとする日米原発大国のわがままは通らなかった。
それはそうだろう。放射性廃棄物の受け入れが、いかにモンゴルが大荒野を有し土地が空いていて経済的な助けになるとは言え、10万年もの長い間他所から持ち込まれた放射線漏れのリスクを背負うことについて国民的な見地から考えて納得できるはずもない。
しかも、モンゴル人は自分たちの住む大地を掘って土地を傷つけることを潔しとしない。だからこそ農民が田畑を耕すようなことをせず、自然をあるがままに受け入れて自然に恵まれた土地を求め放浪する遊牧業を生活基盤にしている。日米の首脳が無理をお願いする相手国について、その長い歴史ある伝統と風習をまったく学んでいなかったことは少々お粗末で、むしろその浅学ぶりには唖然とする。これでは外交なんて口先だけのものになってしまう。つまり目先の危機回避に追われて相手の立場を深く考えることを忘れているのだ。
それより何より、こういう話がなぜメディアを通して伝えられないのかわれわれとしては些か不満である。この交渉過程には放射性廃棄物の処理に困惑している実態が浮き彫りとなっている。それだけ廃棄物の処理が大きな問題となり、今や世界的に深刻になり、われわれ現代人が解決のために喉元に匕首を突きつけられているのだ。
その一方で、原発の事故原因隠しや、安心安全論の啓蒙活動が行われようとしている。先般問題となった九州電力の「やらせメール」事件に関わる第3者委員会の調査結果に対して、九電はそれを容認しない最終報告書を提出した。そもそも調査結果では、「やらせメール」はシンポジウム前に古川康・佐賀県知事から賛成意見を出すよう求められたことがその実行に決定的な影響を与えたと指摘していた。これに対して九電は最終報告書でやらせ実行は認めたが、県からの関与はなかったとして第3者委員会の指摘を事実上否定したのである。知事をかばい、自分たちも落ち度を認めようとしなかった。このお互いにかばい合う佐賀県と九電の蜜月関係の中に、隠蔽体質と安全軽視の本質が隠されている。弁護士で元第3者委員会委員長の郷原信郎氏は、九電の最終報告書は形だけ再発防止策の提言受け入れを強調することによって、一連の問題に対する社会的批判をかわそうとしているとその不遜な姿勢を厳しく批判している。
電力業界には福島原発でこれだけ大きな事故を起して、なお原発に関する都合の悪い情報を隠そうとする姿勢がありありである。これでは、仮に原発を再稼動しても、再び大きな事故を起す可能性は限りなく大きい。これだけ世界中に不安を与え、世間に迷惑をかけていながら反省もなく、どうして懲りないのだろうか。
さて、今日は横浜駅西口の「キャメロット・ジャパン」で湘南高校同期生会が開かれた。卒業して54年が経ち400名いた同期生のうち、すでに66名が亡くなった。今日の出席者は68名だった。まだ、現役で働いている者もそこそこいるようだが、大半は「健康」をテーマに余生をできるだけ楽しもうとの気持ちが強い。ラグビー部の仲間でも今年2月にスタンド・オフだった蓮池雄策くんが亡くなり、同学年部員8人のうち半数の4人がすでに黄泉の国へ旅立ち大分寂しくなった。世の倣いとは申せ年齢を重ねてくるに連れて、ひとり去りふたり去ると段々寂しくなるものだ。私だっていつまで元気に参加できるか分らないが、元気でいる限りは同じ学び舎で学んだ仲間といつまでも楽しくお付き合いしていきたいと願っている。