1617.2011年10月17日(月) 映画研究会セミナーで女性監督の話を聴く。

 日本旅行作家協会の「映画と旅研究会」幹事の山本澄子さんから研究会の催しにお誘いをいただいた。有楽町駅前の電気ビル地下街にあるワインを売り物にしたイタリア・レストラン「東京バンバン」で、「百合子、ダスビダーニャ」製作監督・浜野佐知氏の講演会である。「百合子」とは作家で日本共産党元委員長・宮本顕治の妻だった宮本百合子(中條百合子)で、「ダスビダーニャ」とは、ロシア語の「さようなら」を意味する。つまり、若かりしころの百合子が一時ロシア文学者・湯浅芳子と同棲し、その後顕治と結婚した百合子が湯浅と別れる話で、今日いうところのレズビアンのお話である。
 何よりびっくりしたのは浜野監督が熱弁をふるった①子どもの頃の映画館通いの経験から映画監督になった経緯、②女だからという理由だけで監督への道は閉ざされ、仕事をさせてもらえなかった、③ピンク映画の主演俳優に強姦されそうになったが、自分が悪いと監督に非難された、④過去30年間に300本の映画監督を務めたが、女性監督作品として映画史上に記録が残されていない、等についてユーモアを交えながら、自説を時には過激に話されたことである。最後は大分エスカレートして日本では女に責任ある仕事を与えてくれないので、有能な女性は海外へ出て行く。海外にいる日本人の女性は優秀だが、海外にいる男はバカばかりとまで言われたのには、ジョークとは言え少々言い過ぎだと感じたほどである。それだけ、自分の意思を貫かれ男社会の映画製作で苦労されたのだと思う。最後を締めた山本さんが「日本の男性の中には優秀な人もたくさんおられます」と言われたのは流石だった。なかなか面白い試みだった。どんな演出なのか、近日観賞に行ってみたいと思い、早速前売り券を求めた。
 さて、東日本大震災の際津波で亡くなられた消防関係者が300人を超えたそうだが、そのうち水門の開閉に携わりながら閉門に間に合わず亡くなられた気の毒な方が72名もおられたという。今日偶々「ミヤネ屋」というエンタメ番組を見ていたら、津波の際の緊急必要品として「ノアの箱舟」をもじった新商品「ノア」を紹介していた。こんな商品も開発されたのかと不思議な気持ちに捉われた。
 直径1.2mの球形のステンレス製で、重さ70kgの黄色い物体が、津波が襲ってきた時逃げられないお年寄りや子どもを4人まで収容してじっとしていれば増水しても浮かぶので安心だという。すでに発表以来700件の問い合わせがあるという。上部には空気抜きが2箇所あり、下部には水を溜め込んであって内部の柱とともに安定性では問題ないという。
  しかし、何十年に1度の可能性に賭け28.8万円の費用まではたいて、普段は邪魔な置物を買って自宅に置いておけるだろうか。マンションなどではとても置き場所もあるまい。発想はユニークであるが、そこまでしてこんな大きなステンレス製の球を自宅に準備することまで考えなくてはならないだろうかとちょっとばかり疑問に感じた。だが、いざとなれば自分は逃げることはできるが、逃げられない人のためにこんな物まで造る知恵者がいるということに、つい人間愛的なものを感じた。自然災害国日本で生活することは、生き抜くこと自体が難しいのだろうかと考えさせられるとともに、奇抜なアイディアが必要になったのかと思うと、一面でそぞろ薄ら寒い感じもしてくる。

2011年10月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com