九州電力は「やらせメール事件」解明のための第3者委員会の調査結果に対して、経産省に提出した最終報告書が委員会の報告内容を否定するが如き内容だったことから、枝野幸男大臣から烈火の如き怒りを買い、報告書を再提出する破目になった。九電は指摘された「やらせメール」事件については、古川康・佐賀県知事の関与があったことを改めて認める意向を示した。九電はこのような不始末に至った責任をとって、続投する予定だった真部利応社長がこのまま続投することが難しくなった。
枝野大臣は毅然として正すべきは正すとの姿勢を示し、関係機関に対して強い態度に出たことは常識的に考えればごく当たり前のことであるが、このような場合これまではとかく腰砕けになってこれほど担当大臣が強い意欲を示すことは近年あまりなかったのではないかと思う。
省みて現在の野田内閣の閣僚の中には、大臣職への自信もなく、大臣として所轄官庁を引っ張っていくリーダーシップに欠け、学ぼうとの謙虚な姿勢や向上心もなく、ただ名誉欲とプライドに取りつかれている輩が多い。理論武装というほど大げさなものでなくても持論を展開できる理論構築と判断力、決断力、社会常識等を身に着けずして大臣を務める資格はない。だからちょっとした誘導尋問やおふざけで失言したり、無様な対応をする体たらくで情けないことおびただしい。
菅内閣時代末期に辞任した松本龍・復興担当相や、先般辞めた鉢呂吉雄・経産相は申すに及ばず、現閣僚の中にも首を傾げたくなる「帯に短し襷に長し」の未熟児大臣が多い。
安住淳・財務相、平岡秀夫・法務相、一川保夫・防衛相、小宮山洋子・厚労相、玄葉光一郎・外相らには、彼らが演じる勘違いしたパフォーマンスと自己主張はもう好い加減にやめにしてもらいたいと思っている。パフォーマンスがいかにも若い。駒沢大講座で聴講している講師の菱山郁朗・元日本テレビ政治部長が「週刊ポスト」10月28日号に書いているように「テレポリティクスと呼ばれるテレビ主導の政治が本格的に始まった。経験の浅い政治家でもテレビで意見して簡単に新しい政治の流れを作れてしまう傾向が定着した」のである。
中でも安住大臣と一川大臣のお粗末ぶりは、就任当初から危なっかしくてとても見ていられない。実際永田町で疑問視されているのがこの2人の大臣就任である。‘ベビーギャング’安住大臣は目立ちたがり屋過ぎて、思いつきだけでどうしてほいほいと何でもかんでもしゃべるのか。小宮山厚労相がタバコ増税について言及すれば、それは自分の管掌だと縄張り意識剥き出しで反論し、毎度官僚の手の平に乗った作文を読むだけで、財務官僚が実現したい消費税値上げをいとも簡単に外国で発言する。この無神経さと場所を弁えない言動は軽率の謗りを免れず、大臣としての見識を疑いたくなる。
もうひとり、お粗末な大臣がいる。元農水官僚だった「防衛はまったくの素人」の一川保夫・防衛大臣である。農家の戸別所得補償制度の仕掛け人と言われ、農業問題の専門家を自他ともに認めながら、不似合いの防衛大臣に就任した。これが完全なミスキャストだった。就任早々「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」などとトンチンカンな発言をするあたり、何を考えているのかさっぱり分らない。こんな有様だから、昨日沖縄で仲井真知事と会ってもまともに取り合ってもらえず、一向に想いが通じない。今日は今日で、玄葉外相が沖縄・名護市長に普天間基地移設について理解を求めたが、てんで話を聞いてもらえない。担当の防衛、外務の両大臣が話のきっかけすらつかめないのでは、喫緊の課題である沖縄基地移設問題や、懸案の日米間の問題が前へ進む筈もない。担当大臣が無能なら、内閣も機能せず、全ての面で前進の兆候すら見えない。野田内閣というのは人事のバランスを考えたあまりに、閣僚として素材的に少々お粗末な内閣ができ上がってしまったのではないだろうか。この先が心配である。