世界的に経済不況に落ち込んでいるが、中でもヨーロッパ経済の先行きが極めて視界不良である。先のアイルランド危機に次いで、火薬庫のひとつであるギリシャ経済の行き詰まりが指摘されて久しい。
昨日からアテネ市内ではギリシャ政府の緊縮策に抗議する48時間ゼネストが始まった。12万人もの労働者がデモに参加して国会議事堂前でデモ隊と警官隊が小競り合いを演じていた。テレビで夜間の現地からの中継放送を観た。2度ばかり宿泊したことがある国会前の「ホテル・グランドブリターニュ」のベランダから中継していたようだが、左下に国会、そして右遥かにアクロポリスが見えるはずであるが、ライトが点燈しないために残念ながらライトアップされる筈の素晴らしいアクロポリス上のパルテノン神殿と窓外の風景が漆黒に包まれていた。
観光業で国家財政が潤っていたギリシャだが、外国人観光客も減少し、今では観光施設を閉鎖しているうえに、清掃事業がストップして市内はゴミの山で生ゴミの悪臭が漂っているという。北部観光都市のテッサロニキやエーゲ海上のクレタ島でもデモが行われた。
ギリシャの危機が他国へ及ぶのを懸念してヨーロッパ各国は他国へ連鎖的に波及するのを警戒し、必死に食い止めようとしている。その中で今年7月にEUとIMFがギリシャ支援策を決めた。ヨーロッパの民間金融機関は所有しているギリシャ国債のうち、5兆3千億円を損失としてかぶろうというものだった。国債の価値を21%も減額しようというのである。だが、それでもその後ギリシャ政府が断行してきた国内緊縮では、なお不充分だということが分った。いま検討されているのは、21%の価値減額をさらに35~50%にまで増やそうというのである。それぞれの国の思惑もあり、各国の足並みが必ずしも揃わず、まだこれで決定したわけではない。だが、これ以上ギリシャ国債を抱える銀行の負担が増えると経営難に陥る銀行が現れる。まさに思案のしどころである。23日までの決着を目指してEUの財政責任者が相次いで会合を重ねている。
ではなぜギリシャが通貨危機からこれほどまでの過酷な経済危機に追い込まれたのだろうか。極論すれば、国家予算の支出のうち人件費が多過ぎることだ。公務員数が多過ぎてその人件費が国家予算支出の25%を占めて財政を締め付けているからである。同時に国の政治体制や経済機構、つまり国の仕組みにも問題があるのではないだろうか。
前者については、人件費、年金等削減の緊縮政策により、支出の削減を図った。これでは給与は減り年金が減って生活ができないと国民の反発と不満を買い、思うように実行できなくなった。
しかし、先日スロバキア議会がギリシャ支援に対して賛成票を投じなかったように、ギリシャが自らドロを被る気がなくては他の国々の人たちが納得するわけがないと思う。元々自分たちの不始末から周辺諸国へ迷惑をかけているのだ。その意味では、昨日のデモで財務省役人や一部の警察官まで自分たちの不利益ばかりぶちまけて不満を吐露しても、決して世界中の人々からギリシャへの同情や共鳴を得られるわけではないことをギリシャ国民はしかと心得るべきである。ここはギリシャ国家と国民が一体となって、現実の厳しさに耐え、ともに自力で立ち直ろうとする姿勢をはっきり示さなければ、他国だって支援する気になれない。国家体制もかつての王制から議会制民主主義に替わったが、制度が民主義国家として満遍なく機能しているわけではないようだ。効率性、経済性、民主制、先見性、等々を採り入れて国を機能させる磐石の態勢を作らなければ、ソクラテスを生み民主主義の種を蒔いたギリシャも一介の途上国へ堕してしまうだけではないか。
しばらくギリシャの動向から目が離せない。
夜になって緊急ニュースが入ってきた。リビアの国民評議会が全土を掌握したと発表した。カダフィ大佐については、死亡説と身柄拘束説が流れている。まだ詳細ははっきりしない。