昨日から俄かにクローズアップされたギリシャの財政支援策が、パパンドレウ・ギリシャ首相の変質とも受け取れる発言の真意がいぶかしがられてEU各国はてんやわんやの騒ぎである。そこへ昨日からG20首脳会議がカンヌで開催されたため、世界中から大物首脳が続々とカンヌ入りしている。一癖も二癖もある大物とは言い難いが、野田首相も‘ベビーギャング’安住淳・財務相を伴い現地入りした。
何が騒ぎの発端かと言えば、ギリシャはユーロ国から支援策を提示されたが、パパンドレウ首相が受け入れ前に国民投票にかけると不意に公表したことに、独仏を始め、支援国から強い反発と批判が高まったことである。独仏両国首脳は支援策を受け入れないことは、ユーロ圏からの離脱を意味するとギリシャに迫った。ギリシャ議会も野党がユーロ圏からの離脱には反対で、この動きを受け入れてパパンドレウ首相は国民投票を回避することを発表した。今夜にも首相の信任投票が行われるが、この数日国辱的な失態を曝け出したパパンドレウ首相が信任されても、次期首相に再選される可能性は少ないと見られている。
11年前妻とエーゲ海クルーズを楽しんだ時、韓国が不況の真っ只中にあってギリシャでは韓国人の旅行者が減少したと聞いたが、その年ギリシャは勇躍ユーロへ加盟した。当時の報道だとギリシャのユーロ加盟は秘かに時期尚早と見られていたようだ。あれから11年を経て、韓国経済は立派に回復し、他方ギリシャは昨今国家破産の危機に直面している。ヨーロッパ各国の中にはギリシャの加盟を認めたことが失敗だったと思っている国もある。何が国家の命運を左右するか、一寸先は闇である。
ギリシャの財政逼迫は、ユーロッぱ各国、日米、そしてBRICsにも大きな影響を与えかねない。さぞやギリシャが生んだ哲人ソクラテスもギリシャのこの惨状を嘆いていることだろう。
今日イタリア国債がユーロ導入後最安値にまで急落した。次はイタリアか? せめてこの流れが回りまわって日本へやって来ないことを願うばかりである。