今日北朝鮮の首都ピョンヤンでサッカー・ワールドカップ3次予選の日本対北朝鮮戦が行われ日本が0-1で敗れたが、試合会場・金日成記念スタジアムは秘密国家・北朝鮮らしく、およそ国際親善スポーツらしからぬ異常な雰囲気を醸しだしていた。
日本代表チームは昨日チャーター機で北朝鮮入りを果たしたが、その入管手続きに4時間近くを要した。昨日入国後の軽い練習では、グラウンド内をどういう目的か北朝鮮軍兵士が行進しているような有様で、今日の試合会場を見る限り5万人のアウェイ・ファンの中で、日本人サポーターは入国を認められた150人だけが手足をもぎ取られたような閉塞状態で大人しく声援していた。試合後日本人ファンは恐怖感を感じたとその異常な試合の感想を率直に述べていた。
試合開始に先立って両国国家斉唱で「君が代」が吹奏されるとけたたましいブーイングに圧倒される状態で、凡そ国際親善試合と呼べるものではなかった。かつて中国で開催されたアジアカップの際に同じような光景があったが、これほど酷くはなかったと思う。北朝鮮国民には、やはり国際試合を観戦するうえで常識とかエチケットが欠けているようだ。しかも北朝鮮ファンは国旗を振りかざして応援していながら、日本人はカメラ、国旗、太鼓や鐘などは持ち込めず、まったくアンフェアでアブノーマルな雰囲気だった。つい拉致事件を引き起こす国らしいなぁと考えてしまう。
国際間の行事や取り決めになるとどうしても行き違いや、誤解が生じるのはある程度目をつぶるとしても、意図的に相手国を威圧したり、極端に相手国に不利を強いるような状況を作り出すようなことでは国際親善なんか生まれるわけがない。
国際外交の場でも、似たようなわけが分らないことがある。どうもTPPが分かりにくいと最近本欄にも書いているが、今までの外交とどうも様子が違う。TPP加盟国はアメリカを中心に9カ国だが、昨日日本が加盟交渉をすると宣言したことによって、カナダとメキシコが参加に前向きな姿勢を表明した。もし仮に実現すると世界経済の約4割がTPP加盟国間で行われることになる。これに対抗して中国がASEANプラス3カ国(中日韓)の構想に、さらにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えて16カ国で広域自由貿易圏の構築を目指す意向のようである。そのうえもっと複雑にしているのは、昨日行われた日米首脳会議で交わされた申し合わせが、日米両国で言うことが違うのである。オバマ大統領と野田首相のトップ会談で話し合われたことが、それぞれの国内で違った伝えられ方をしていることである。こんなことはかつてなかったと思う。なぜか言い出しきれなかったことがあったのではないか。アメリカ国務省のホームページに話し合いとは違うことが発表され、その間違いに気がついた日本政府が抗議するとすぐ取り消された。だが、情報は取り消されないままアメリカ国内でニュースとして流れている。こういう失態とも言うべき行き違いはどう処理しようというのか。
世の中が複雑になり、ファジーになってくると国レベルも雑になるということなのか。