1651.2011年11月20日(日) アジアで米中の綱引きが露骨に

 昨日ASEAN 10カ国と日中韓など域外8カ国でつくる東アジアサミットが開かれたが、このところ連日ASEANの拡大とTPP加盟問題がメディアで大きく取り上げられている。ややこしいのは米中両国が日本を主にアジア・太平洋諸国を自国の経済圏拡大のために中国はASEANへ、アメリカはTPPへの参加を呼びかけていることである。

 だが、日本の場合それぞれの加盟問題が充分議論されない内に結論だけが走り出したことで事態をやや複雑にしている。わが国ではTPPについて事前に政府から国民への説明がなされることなく、野田首相がホノルルの首脳会談でTPPへの交渉参加を表明した。これによりカナダ、メキシコが雪崩現象的に参加を表明することになり、TPP域内取引は世界貿易額のほぼ40%に当ることになった。これに慌てたのが中国政府である。

 ASEAN+3(日中韓)となれば、その貿易額は世界全体の23%となり、これにインド、オーストラリア、ニュージーランドが加わるASEAN+6となれば、全体の27%となる。経済関係のみならず、政治的にも大きな力となるので、中国は必死になって日本へアプローチし始めた。これにより巨大になる域内を中国自らが取り仕切ろうというのである。

 最近は国際問題が経済がらみというより、政治的な主張が強まってきた。米中間で応酬となった南シナ海の領有権、海洋安保の問題がとりわけターゲットになっている。オバマ大統領が領有権では国際法に基づく主張が必要だと述べたのに対して、中国の温家宝首相が南シナ海問題は中国と領有権を争う国との直接協議で解決すべきと主張し、更に外部勢力はいかなる口実であっても介入すべきではないと反論した。

 しかし、中国の言い分は些か虫が良すぎる。国際法上領有権が認められそうもない公海上、或いは他国領有海上に一方的に進出して紛争を捲き起こしていながら、当事国となった自国と相手国以外は口出しするなと言わんばかりの横暴で排他的な論理は、到底他国を納得させることはできまい。これから中国はどういう経緯で、周辺諸国を納得させ領有権問題に決着をつけるか。注目してみたい。

 さて、プロ野球日本シリーズが福岡ソフトバンク・ホークスと中日ドラゴンズの間で熱戦を繰り広げていたが、シリーズは最終第7戦まで持ち込まれ、今日やっと決着がついた。今年の日本一は4勝3敗でドラゴンズを下したホークスと決まった。ホークスは昨年パ・リーグで優勝しながらクライマックス・シリーズと呼ぶおかしな制度で破れ、日本一への挑戦権を失った。それだけに今年の日本一に賭ける意気込みは相当強かったと思う。

 このシリーズの間に巨人軍の人事問題が絡んだ清武英利・球団代表による渡辺恒雄・読売新聞会長告発問題があり、シリーズは野次馬的に水を注され、少々後味が悪かった。しかし、シリーズは僅差で緊張した試合の連続で、シーズン最後を飾るに相応しい試合ばかりだった。他にもいくつかの問題点を曝け出した今年のプロ野球界だが、もう少し経営者が現実に抱えている問題を真剣に考え是正していかないと、ファンが去りいつかは寂れて行ってしまうのではないだろうか。

 優勝インタビューでホークス秋山幸二監督が、東北大震災によりシーズン開幕が遅れ、震災に見舞われた被災者のために全12球団が一丸となって被災者に元気を与えられるよう頑張ってきたと述べてくれたことがせめてもの救いである。経営者にもこのくらいの気持ちが欲しいものである。

 プロ野球界は内部に抱えた小さな問題を過小評価することなく、謙虚に反省したうえで、来シーズンに向けて再出発を期して欲しいものである。

2011年11月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com