駒沢大学マス・コミ研究所の今年度公開講座が最終回とあって、講座は2人の講師、菱山郁朗氏と片山正彦氏が一緒にコーディネーター役となって受講者と今年のニュース、気になった事件などについて諸々話し合うスタイルで進められた。今年のビッグニュースは何と言っても震災であり、原発事故だ。私は日本ペンクラブのシンポジウムやセミナーのケースなどを話して、わが国は脱原発へ向うべきということと、学校教育で原子力全般についてもっと詳しく教えるべきだと私見を述べた。
2時間の講座を終えてから、近くの蕎麦屋で打ち上げをした。今年は後半になって欠席が多くなり、その点で少し悔いが残るが、講義はすべて分り易く仕事上も大分参考になった。来年も時間を見つけて参加するようにしたいと考えている。
「最終」と言えば、1924年日本で初めての本格旅行雑誌として「日本旅行文化協会」が創刊した、月刊誌「旅」が来年3月号を以って休刊と決まった。発行元が戦後日本交通公社へ移り、7年前創刊80周年記念の年に新潮社へ移った。昨年共著として発行した「そこが知りたい 観光・都市・環境」(交通新聞社刊)の中でも本雑誌「旅」について一寸触れた。こういうオーソドックスに旅行と向き合う真面目な旅行専門雑誌が休刊となるのは、いかにも残念である。旅行情報誌というより、むしろ紀行文を取り上げていたが、スピード時代に入って今では玉石混交の情報満載で回転の速い週刊誌に些か遅れを取るようになった。月刊誌ではスピードに最早付いていけなくなったということだろうか。かつては、松本清張の名著「点と線」が連載され、文壇でも注目を集めた。父方叔母の日本女子大時代の同級生・戸塚文子さんのような一世を風靡した名物編集長もその後輩出されなかった。今の状態では、休刊とは言うが、廃刊も覚悟しなくてはならないだろう。90年もの長い歴史を重ねてきた老舗雑誌が姿を消すのはいかにも惜しまれてならない。
その一方で、変わった新たなデビューもある。日本人シンガーのCDアルバムがアメリカやカナダ、ヨーロッパで人気を博し、その影響を受けて次第に日本国内でも販売数が増え、それをリリースした日本人歌手のアルバムがいま話題を呼んでいる。
歌手・由紀さおりが出したアルバム「1969」がそれだが、その中に同年ヒットした「夜明けのスキャット」が挿入されている。私たち夫婦は1969年に結婚してタイへ新婚旅行にでかけたが、バンコックのホテルで食事をしていると毎日耳にした忘れられないメロディーだった。それ以来このハミングばかりで歌詞の少ない異色の曲を聴く度に、タイへの新婚旅行を思い出したものだ。そう言えば、あの時ペナンへ向う予定だったが、マレーシアで突如戒厳令が発令され、バンコック空港からマレーシアへ飛び立てず、方向変更してチェンマイへ行ったり、いま洪水で大騒ぎのアユタヤへも行った。まぁいろいろハプニングはあったけど、想い出は尽きない。