1654.2011年11月23日(水) 戦略のない日本のリーダー

 福島原発から50㎞圏内に湯の岳断層という活断層があることが判った。これまで土壌の表面を目視しただけでこの周辺は活断層ではないと東京電力も原子力安全・保安院も安易に見ていた。それにしてもこれだけ大それた事故を引き起こした原子力発電所について、政府は脱原発依存に向けた新たなエネルギー政策を来夏までにまとめる方針であると公言しているが、原子力安全対策について些か鈍感であり、その対応はスピードが遅い。

 今日まで4日間行政刷新会議による政策仕分け作業が行われたが、原発関連支出では高速増殖炉「もんじゅ」が稼動しないまま、ほぼ20年間に亘り維持費だけで年間200億円もかかる無駄遣いなどはそのまま置き去りにされている。それでいて、今朝の朝日はトップ記事が「原発コスト『4割高』―04年事故リスクを加算」であり、セカンド記事が「チェルノブイリ原発事故から25年」とあり、「300年は住めない」ととんでもないびっくり記事が書かれている。加えて社説では「まず脱原発を固めよ」とまで提言している。最早原発問題は放っておける状態ではない。これだけ原発の危険性が報道されていながら、その一方で案外直接関係ないところでは、原発の危険性は軽視し放置されている傾向がある。結局いつまで経っても日本人には、深刻な事態を一過性と捉えたがる性癖があり、権力者には重大事に決断が遅く方針を立てても戦略がないのではないかと思う。原子力政策もまったく同じである。

 そんな折り今朝NHKが「未来をつくる―森永卓郎のリーダー論」という面白い試みの番組をやっていた。経済ジャーナリスト・森永氏が佐賀県の十数名の公立中学校生徒に、佐賀県人のリーダーについて語り聞かせ、彼らと話し合って佐賀県をどうしたら世界的に売り出し、価値を上げることができるかと4つのグループに分けてプレゼンテーションを行わせていた。その中で森永氏は佐賀藩主・鍋島直正について、幕末という混迷の時代に世界を最も知っていた日本人であり、いかにリーダーとして優れていたか、と話していた。同時にリーダーは戦略を持ち、戦術は部下に任せるべきだと述べていたが、まったくその通りで今わが国のリーダーには戦術はあるが、肝心な戦略がある人物がどれほどいるだろうかと考えると少々首筋が寒くなってくる。

 日本はどうして戦略のないリーダーを抱えることになってしまったのだろうか。平和な証と言っては皮肉だろうか。

2011年11月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com