昨日大阪で大阪市長と大阪府知事の同日選が行われ、市長選では「大阪維新の会」代表で前府知事の橋下徹氏が現職の平松邦夫氏に圧勝した。また、橋下氏が辞職した府知事選は、同じ「大阪維新の会」幹事長・松井一郎氏が6人もの対立候補者を大差で破り、結果的に「大阪維新の会」がダブル選で完勝した。政治、経済が停滞している日本の現状に鑑み、強いリーダーシップを求められたことと、危うさも伴うがその抜群の突破力を全面に出した橋下氏の個性的な行動力が高く評価されたのではないだろうか。
戦前の市長選予想ではほぼ互角の勝負ながらも橋下氏が一歩リードしているとの接戦の予想だった。府知事選ではまったく予想がつかず、勝敗の帰趨は無党派層次第と見られていた。
ところが、蓋を開けてみれば市長選、府知事選ともに「大阪維新の会」の圧勝である。今朝の新聞ではそれぞれコメントが掲載されている。投票率も40年ぶりに60%を超えたと言われ、関心の高さを窺がわせる。
今回異常なまでに有権者の関心を高めたのは、前府知事だった橋下氏が大阪市と大阪府の二重行政の無駄を排除し、大阪都構想を打ち出して脚光を浴びて、その動向と可能性が注目を集めたからである。
早速橋下氏はその可能性について記者会見で、2015年春に現在の大阪府と大阪市を大阪都へ移行させる目標を掲げていると述べた。しかし、ハードルは高い。その準備過程として①府・市議会での賛成、②府民・市民の住民投票で過半数獲得、③地方自治法の改正、をクリアしなければならない。さしあたって、13年度までに大阪市議会の決議可決が必要である。市議会では第1党を確保しているが、過半数を獲得していない。人気は高いが、一部には傲慢とか独裁とかあまり芳しくない噂のある橋下氏は、議論を尽くして価値観が合わなければ、市議会解散請求(リコール)も考えていると相変わらず強気である。この他にも公約で掲げた全教育委員が反対し、日本ペンクラブも反対する教育委員会制度の見直しを目指す「教育基本法条例案」や、公務員の制度改革を図る「職員基本条例案」など前途に問題山積である。府知事選では、民主、自民、共産まで既存政党は「大阪維新の会」の対立候補者を支援した。国政にとっても維新旋風は少々手に負えない風雲児なのではないか。一般にも期待する半面、どこか不安もあるような有権者の投票パターンである。
果たして知恵者・橋下徹氏と「大阪維新の会」の面々が、いかなるアイディアと実行力を発揮して難問をさばいてくれるのか。お手並み拝見である。
さて、今日はペンの日で、恒例によって日本ペンクラブでは毎月の例会とは変わった形で「ペンの日懇親の会」を開いた。会場にはプロの写真家が撮った東日本大震災の悲惨な写真が展示されていた。それを撮った写真家は現場では言葉も出ないくらいしばし立ち尽くしたと言っておられた。
9月にセルビアの国際ペン大会で、ベオグラード在住の友人・山崎洋さんと共同運営に協力された常務理事で国際ペン専務理事でもある堀武昭さんと国際ペン大会の話をしたところ、中々日本ペンと国際ペンの間で苦労が絶えないと漏らしていた。国際ペンの費用を日本ペンが負担することの是非もあり、弱音も口にしていた。昨年9月に国際ペンの専務理事に選出され、メディアでも大きく取り上げられたくらい名誉な話だが、あまり嬉しそうな話をしなかった。むしろ国際ペンの財政問題は、彼にも相当プレッシャーとなっているようだった。名誉ある職に就いても、日本ペンと国際ペンの狭間で頭を痛め、浦安の自宅が液状化現象で傾き、奥さんが健康を害して悩み、やせ細った彼の健康がちょっと気になる。
会場で先日の脱原発セミナーでお見かけした法政大名誉教授・袖井林二郎の姿を再びお見かけしたが、今日もまた場違いにも真っ赤なセーターに法被を着て目立った動きをされていた。つい最近になって急に表舞台に再登場されてきたような印象だが、こう言っては失礼かも知れないが、何か目的とか思惑があるのだろうか。認知症の症状が顕われたのでなければ良いが、心配である。
元朝日新聞の轡田隆史さんからエッセイ「トラック島日系大酋長」にご関心をいただき、改めて「知研フォーラム」をお送りすることをお約束した。小中陽太郎さんほかの皆さんには2次会へのお誘いをいただいたが、糖尿病と痔の件をお話して失礼させていただいた。気持ちとしては残念だが、今後2次会はできるならお断りしようかと思っている。