昨日の本欄でCOP17がよく分らないと書いたが、それを見透かしていたかのように今日憲政記念館で開かれた「ふるさとテレビ」主催の「田原総一朗・時代を読む」講演会で、田原氏が冒頭から新聞がよく分らないと話され、その槍玉に上げたのがそのCOP17である。新聞自体がよく分かっていないのに、記事にするから読者には分る筈がないとまで言われた。COP17については田原氏が分り易く解説してくれた。
昨日私が書いた内容とほぼ同じだが、田原氏はより具体的に中国、アメリカ、インドのような大量二酸化炭素排出国が、我儘で排出量削減義務を負わないしたたかな外交術と、いつも通り厚かましい外国の言う通り引き受けてしまう日本の外交下手、そしてヨーロッパが削減義務を率先引き受けると言い出した理由について説明された。後者については1996年に京都で日本が議長国となって議定書を成立させた時の排出量削減は、ヨーロッパ8%、アメリカ7%、日本6%で、一見ヨーロッパに厳しいようだが、基準となった1990年が社会主義体制崩壊の時でヨーロッパには大量の排出ガスが溢れて、その基準から言えば8%は容易かった。だから度々1990年という年がことあるごとに出てくるわけだ。それにイニシアチブをとられて、アメリカ7%、次いで日本6%という根拠に乏しい数値目標義務を課せられたわけだ。そして、つむじを曲げたアメリカの離脱である。
一番バカを見たのはお人好しの日本ではないか。日本の外交下手とお人好しぶりが国際舞台で舐められうまく利用されてしまったのだ。田原氏もその点をくどいくらい述べておられた。
田原氏はそのほかに、①野田内閣支持率の低下の原因、②普天間基地移設問題、③日本企業は攻めの経営から守りの経営に変わった、④失敗を恐れる風潮、等々についてちょうど1時間話された。
話を終えて田原氏が質問を受けましょうと言ってくれたが、質問者が自分の意見を長々と述べて時間がかかったために、たった2人しか質問が許されなかった。最近こういう質問者が多くて困る。こんなことなら、私が質問したかった。ズバリ「田原氏は原発推進支持か、脱原発支持か?」と。
開始前に主催者「ふるさとテレビ」の角広志氏と田原氏の原発感について立ち話をした。先日のペンクラブの「脱原発を考えるペンの集い」で、躁状態の袖井林二郎・法政大名誉教授が「田原総一朗は殺人者だ!」と脱原発の立場から乱暴に一方的な発言をしたが、田原氏当人の口から原発についてどう思うか聞いてみたかった。田原氏は原発事故について「時代を読む」と銘打った以上当然触れてくれると考えていたが、原発に言及してくれなかった。残念ながら、元々1時間では時間的に足りず、今日の田原氏は客観的な話が多く、氏の本音を聞き取ることはできなかった。
10年以上前に田原氏の講演を聞いたことがあるが、今日は若干フラストレーションが溜った。それでも氏の相変わらず分り易くメリハリの利いた話しぶりにはそれなりに楽しませてもらった。