1684.2011年12月23日(金) 政治家もダメ、役人もダメ、国策会社の大企業もダメ

 昨日電力がらみで2つの不誠実な発表があった。ひとつは民主党が2年前の総選挙の際マニフェストに掲げた「八ツ場ダム建設工事中止」の取り止めであり、もうひとつは東京電力の32年ぶりの電気料金値上げの申請である。

 前者は民主党が総選挙で勝ち、その直後国土交通大臣に就任した前原誠司・現民主党政調会長が即座にマニフェストに添ってダム建設工事を中止すると公表した。ところが工事はすでに全体の7~8割方終っている。地元の反発も激しい。1週間後現地視察に訪れた前原氏は地元から対話も拒否される有様で、地元では賛成派と反対派が入り乱れる一方で、投資資金をつぎ込んできた首都圏自治体の間には建設続行の空気が強まってきた。次の馬淵前大臣のニュアンスが少し変わってきた。

 そんな中で現在の前田武志大臣はダム工事の再開を決定した。このよろめき裁断は、地元住民の気持ちを弄び、自治体を翻弄し続けた結果である。そして、遂に今日前原政調会長は、決定は政府に任せることにして、政府は正式にダム建設を決定した。これにより民主党はまたもやマニフェスト違反を犯し、国民を裏切ることになった。民主党が政権を取ることができたのは、国民を騙しても自分たちが甘い汁を吸えれば後はどうにでもなると考えたからだと思われても抗弁できまい。政権末期の自民党も酷かったが、これほど自分たちの政治を実行できない民主党は政権政党として最低である。まったく政権政党の体を成していない。恐らく次回の総選挙では信頼を失い、かなりの票数を減らすことになるだろう。

 さて、後者の電気料金値上げは突然東電の一方的な発表である。企業向けに2割、一般家庭向けに1割程度の値上げを検討しているようだ。火力発電の比重を高めた結果、燃料費の負担が重くなり過ぎたからだという。だが、本音は公的資金が注入され実質国有化されることから逃れるために、東電がかけた乾坤一擲の勝負ではないかと噂されている。気に入らないのは、値上げを発表した西沢俊夫社長の値上げは当然のような不遜な会見である。「値上げは事業者の義務であり、権利でもある」とまで言い放った。お願いするのに、申し訳ないとの気持ちや謙虚さが微塵も感じられない。長年親方日の丸で事業展開してきた国策会社の厚かましい本音が覗ける。

 政治家にせよ、ダム建設推進のための下工作をやっていた役人にせよ、或いは国策会社の東電にせよ、みんな自分たちだけのためにしか働かない。どうして日本人のモラルはこうも劣化したのだろうか。

2011年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com