今秋のアメリカ大統領選挙に向け、3日共和党アイオワ州党員集会でロムニー前マサチューセッツ州知事が勝利を収めた。10日にはニューハンプシャー州で予備選挙が行われ、ここでもロムニー氏が勝ち次期大統領へ向けて順調な滑り出しをしたように思える。
ところで、今日池上彰氏のテレビ解説で知ったことであるが、アメリカ独立以来歴代44人の大統領の内、J.F.ケネディのカトリックを除き、他の43人は悉くプロテスタントだという。アメリカ大統領と言えば宗派的にはこれまでプロテスタントだったのである。それがロムニー氏に限ってはモルモン教徒である。ケネディの場合は、アイルランド系移民の血を継いでいたので、カトリックと聞いても理解できる。それが全アメリカ国民の僅か1.7%しかいないモルモン教だとすると、ロムニー氏は宗教的立場から言えば、ほとんど大統領の目がないとも言える。果たしてロムニー氏は、世評を覆すことができるだろうか。
アメリカのモルモン教と言えば、ストイックなほど堅実な生活を送り、酒もタバコもコーヒーのような刺激物も嗜まないことで知られるし、収入の内1割を所属する教会に寄付する。布教のためにかかる経費はすべて自己負担である。ユタ州ソルトレイク・シティにあるモルモン教本部を2度ばかり見学したことがあるが、信者が誇る「モルモン教ここに誕生」の記念碑‘THIS IS THE PLACE.’MEMORIALを本部サイト内で確認したことがある。ある意味で極めて真面目で奉仕的な考え方で、それを忠実に守っているのは相当真摯な性格だと思う。
それに比べると、残念ながら日本の一部の政治家の中には、不真面目で、人を欺いてまでしても利便を得ようとする悪辣な政治家が多いのには毎度のことながらうんざりである。
直近では、一昨日、昨日と2日間政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎・民主党元代表に対する裁判である。細かいことは省略するが、この小沢氏の感覚は国民の普通の常識とはまったくかけ離れたものである。これまでの裁判の過程、憶測、小沢氏周辺の発言、偽証罪による立件などから推して、私にはどうも小沢氏がウソ八百を並べているのは間違いないように思えて仕方がない。天下国家以外は関心がないとの不遜な言動には、まず自らの襟を正せと言いたい。小沢氏にこれ以上天下国家を論じられては、迷惑を蒙るのは国民である。さっさと政界を去るべきが、現在小沢氏ができる唯一のことではないのだろうか。資金力に任せて名うての実力派弁護士を雇い入れ、守りを固めるのは立場上理解できないこともない。
しかし、例えば弁護士というのは正義を主張し、世の不正を暴き、無実の罪を負わされた気の毒な人々に救いの手を差し伸べる人道的行為が原点であった筈だ。その意味では、悪のお先棒を担ごうとする同根の弁護士があぶく銭に血迷い、悪の道を突き進む小沢氏を手助けしようとする行為は、どうも正義という観点から納得できない。
一部にせよ小沢氏のような政治家が生まれる日本の政治的風土は宗教観がないからだけではないように思える。その点では、アメリカの大統領の方が、日本の政治家より遥かにクリーンですっきりしているように思う。