今日は父の命日である。10年前に93歳で亡くなった。割合母が早く逝ったので、父は20年近く鵠沼の広い屋敷にひとりで生活していた。会社を退いてからは静かな鵠沼の地に馴染み、湘南地方の環境が気に入って自由気ままな生活を送り、近所に所帯を持っていた弟や妹がいろいろ世話をやいてくれていたとは言え、やはりやもめ暮らしは寂しかったに違いない。
生前あまり親孝行らしいことはしてやれなかったが、それでも私の旅行の話を熱心に聞いてくれた。一度は私の企画したヒット商品・ツアーにひとりで参加したが、生憎旅行先で体調を崩し、途中でひとりJALに面倒をみてもらいながら帰国したことがあった。もっと親孝行をしてあげられれば良かったと思っているが、すでに後の祭りである。来月初めに弟夫婦、妹夫婦とわれわれ夫婦で七里ガ浜の鎌倉プリンスホテルで食事をともにすることになっているが、何の不安もなくのんびり暮らしていた鵠沼時代の生活について話題が尽きないことと思う。
さて、今年は世界リーダー国のトップの選挙、或いは選挙なしの交替が行われる。交替が決まっているのは、中国の国家主席が胡錦濤氏から習近平氏への政権移譲であるが、昨日台湾のトップを決める、総統選挙が行われ接戦を制して現職の馬英九国民党主席が、対立候補である民進党の蔡長廷氏を破り再選された。結局対中関係改善への支持が強かったということだ。今回の総統選挙では、早くから中国との付き合い方、つまり中台関係にどう取り組むかが大きな争点だった。深まりつつある中国との関係の中で、馬氏がこれまでの安定した中台関係の過程で経済が発展したことを訴えたのに対して、蔡候補は台湾独立志向を明確に打ち出していた。結局現状の中台関係が生み出す経済的なメリットが高く評価され、馬総統を再選することになった。中国政府はほっとしているようだが、意外にもアメリカ政府も「この数年の両岸関係改善の素晴らしい取り組みが続くことを期待する」との声明を出した。中台関係にさしあたって緊張感が生まれないことを期待してのことであろう。
これから3月のロシア大統領選、5月のフランス大統領選、8月の韓国大統領選、そして11月のアメリカ大統領選へと続く。その都度世界の株式相場、ひいては景気が左右されることもあり得る。どうやら落ち着かない一年になりそうである。