昨日まで連続して35日間も続いていた乾燥注意報が、一転して雪の朝となった。今年の初雪である。自宅庭園の松ノ木に積もる風雅な雪景色にしばらく見とれていたが、やはり松に雪は日本的情緒を窺がわせて中々絵になる。それにしても外は寒い。旭川郊外の江丹別では、今冬初めて氷点下30℃を下回り-30.3℃を記録した。夕方になって漸く雪は止んだ。
さて、昨年12月に経営不安が噂され本欄に取り上げた、アメリカの映像機器大手のイーストマン・コダック社が、ついに連邦破産法の適用をニューヨーク連邦地裁に申請した。フィルム・メーカーとして130年の歴史を誇った名門企業も、時代の波についていけなかったというより、需要が減ったフィルム写真に固執して、デジタル・カメラを開発した会社であるにも拘らず、その優位性を生かしきれなかった。経営者に経営判断の誤りがあったと考えざるを得ない。
この点について、ライバル会社の富士フィルム・古森重隆社長は、「時代が流れる中でコア・ビジネスを失ったとき、乗り越えることに成功した会社と、乗り越えられなかった会社がある。当社は事業を多角化することで乗り越えてきた」と勝者の自信か、勝因を冷静に語っていた。トーマス・エジソンがコダックのフィルムを使って映画撮影用カメラを発明した歴史がある。また、アポロ11号の月面着陸でもコダックのカメラが使われたそうだ。これほどの名誉はなかろう。その意味でも同社の破綻は惜しまれてならない。私自身、初期の海外旅行の頃は写真が鮮明に写るとの言葉を信じてコダクロームを使ったものだ。
コダックが左前になったのに対して、2009年に経営破綻したGMが一躍復活を遂げた。しかも昨年の自動車世界販売で首位に返り咲いたのだ。その煽りで昨年トップの地位にあったトヨタが首位から3位にまで滑り落ち、2位にはVWが入った。4位が日産・ルノーで、5位が韓国の「現代」である。優勝劣敗が厳しくなり、油断すると一瞬の間にその地位を取って代わられる。日本のメーカー企業にとっては、一挙に円高、震災、タイの洪水とマイナス材料に襲われ、市場で勝ち抜くのは厳しかったと思う。
しかし、デトロイトで開かれている自動車ショーでは主役はドイツと韓国の車だったという。「THE CAR OF THE YEAR」には、韓国の「現代」車が選ばれ、次点はVWだった。日本車は最終候補にさえ入らなかったそうだ。世界市場では、不運を嘆いても誰も味方をしてくれない。結局品質を高め、価格を低く抑え、マーケッティング・リサーチをしっかりやって消費者のニーズに応えられる商品を生産しないと市場は受け入れてくれないということである。
大相撲初場所で大関把瑠都が今日13日目で初優勝を遂げた。これまで大相撲界では横綱白鵬の独壇場と言われるほど横綱が圧倒的な強さを誇っていたが、その白鵬がもうひとりの大関琴欧州に敗れて残り2日を余して優勝が決定した。あまりにも強すぎた白鵬が13日目にして3敗を喫した突然の異変は、これから相撲界の勢力図がどうなるのか別の意味で興味津々である。惜しむらくは、モンゴル出身の白鵬、エストニアの把瑠都、ブルガリアの琴欧州と、いずれも外国人力士であることだ。国技の相撲であるだけに余計日本人力士の奮起が望まれるところである。