靖国神社のA級戦犯合祀について反対意見がある中で、今日の朝日朝刊トップ記事が「靖国戦犯合祀、国が主導」である。何のことはない。今まで白を切っていたが、当時の厚生省、つまり国が合祀を決め秘かに実施に移していたのだ。1951年9月サンフランシスコ平和条約締結直後にその動きを加速させたが、戦犯問題の早期解決を考えていた厚生省には、その当時陸海軍出身の幹部が何人かいて彼らの意向が反映されたと言われている。ちゃんと文書も残されており、それに基づいて靖国合祀の前に各地の護国神社に合祀していた。今頃になってこういう話が現実味を持って伝えられること自体おかしいと思う。元厚生省幹部は靖国神社への戦犯合祀の方針を綴った「業務要旨」の存在は知らなかったと言っているが、額面通りに受け取ることはできない。靖国神社から分祀して建設も囁かれている国立墓地へ戦犯の遺骨を移設する声がある中で、この先靖国合祀問題はどう発展していくのだろうか。終戦記念日が近づくにつれて喧しくなるのではないだろうか。
さて、東大が秋入学へ全面移行するとの考えを17日に発表したが、東大は昨日電光石火の決断で素案を正式に発表した。その後東大も他大学や企業とも協議をして好感触を得たようで、思い切って考え方を発表して世論を更に秋入学へ加速させる狙いがあったのではないかと思う。東大は数年内に単独でも秋入学へ進もうとしている。このスピード感のある決断は大いに評価すべきである。
高校や予備校の間には今も戸惑いが見られるが、大学サイドにはメリットを評価する声が強いようだ。結局は国際化への対応上秋に入学にして外国の大学と歩調を合わせた方が、トータルに考えてメリットが多いと判断したのではないだろうか。
問題は18日の本稿にも書いたように、東大の動きはスピードを持って進められているのに、肝心要の監督官庁・文科省が一向に動こうとしないことである。大学の入学、及び卒業時期を変更するとなるとそれは1大学だけに留まらず、他大学にも影響を及ぼし、受験者を送る高校、更にその下級学校である中学校、小学校も東大の学年初めに合わせる必要があるのではないか。
なぜ文科省はせめて試案だけでも発表することができないのだろうか。
数日前に俄かにクローズアップされた福島県二本松市内の新築マンションから放射能が検出された原因のひとつは、報告を受け検査の必要を知りながら放置した経産省の怠惰な結果であり、無責任の謗りは免れない。これだから役人は仕事をしていないと思われ、公務員の給与削減要求にも迫力が出てくるのではないか?