毎月定例的に麹町の海事センターで開かれている「JAPAN NOW情報協会」の観光立国セミナーは、今日杉原ビザによって救われたユダヤ人難民、つまりシンドラーについて、元国際観光振興機構(JNTO)コンベンション誘致部長・北出明氏がいくつかの資料を基に話された。北出氏は元JTBの「大迫辰雄」と仰る方のご遺族から拝借した7人の難民の写真を頼りに外国に住んでいる、その何人かの方を取材した体験について話された。シンドラーがウラジオストックから日本海を渡って福井県の敦賀に逃れて来たのは太平洋戦争開戦直前だった。命からがら逃げて来た彼らにとって敦賀は天国に思えたとも、杉原千畝氏に感謝しているともいう。そんな縁もあって以前福井テレビがドキュメント番組を放映したが、今日そのダイジェスト版を観せてもらった。その関係から今日も会場に同テレビの取材班が来てカメラを回していた。恐らく続編を製作することになるのだろう。
ユダヤとか、パレスチナ問題となると今でも対立の根は深く、問題解決へ向けて一向に前進しない。更にナチによるホロコーストとか、ポーランドやバルト諸国のナチの虐殺に対する斜視的にして民族的な見方が入ってくると、当然誤解や偏見もあって立場や視点によって相変わらず考え方は融合しない。実際今日も講義の後の質疑応答で立場の異なる2人の意見が対立した。
さて、今政治を変えようとしている人物として、最も注目されているのは橋下徹・大阪市長だろう。府知事から市長になったと思ったら、今度は中央政界に新風を吹き込まんと次の総選挙へ向け候補者を全国から募集した途端、どっとばかりに2千人を超える希望者が殺到する有様で、すでに既存の政党からも擦り寄ってくる状態である。
ところが、その橋下氏の思うところをやり遂げようとするその強引な手法が、一部では敬遠されている。今日明らかになった話では、大阪府で今年度採用した公立学校教員試験合格者2292人の内284人が、つまり合格者の12.4%がに教職に就くことを辞退したそうである。この数字は最近では最大の辞退者だそうである。大阪が教員の厳しい人事評価を採り入れようとしている教育基本条例案に、どうやら怖気づいたかの感がある。そこまで忌避現象が現れてくると、他の行政分野でも同じように辞退者が出る可能性がある。そうなると今後大阪は有能な人材を獲得することが難しくなってくると思う。橋下氏の考えていることは分かるが、選挙で選ばれたから市民にとってプラスになることは何でもできると個人的に考えているとしたら、それは考え直した方がいい。
一方で、この不況の中で折角目指していた教職の道を確保しながら、評価が厳しいとの単純な理由で、簡単に自分で開いた道を閉じてしまうのも少々浅はかではないか。どうして、両者とも極端に突っ走るのだろうか。これではまとまるものもまとまるまい。