1738.2012年2月15日(水) 日銀のインフレ目標はケインズ理論と対決か?

 昨日日銀が事実上のインフレ目標導入に踏み切った。1%の物価上昇が見通せるまで現在のゼロ金利を続けるとの日銀なりの決意である。現在のデフレ傾向が景気を冷やし、雇用と給与面で減少し、消費が伸びない不景気の連鎖を繰り返していることから、財務省も日銀に対して具体的で効果の上がる政策課題として、デフレ脱却方針の実行を迫っていた。

 このような時期に先月アメリカが景気回復を目指して、2%のインフレ目標を示した。日銀はこのアメリカのバーナンキFRB議長案に追随したのである。この日銀のインフレ目標により、実態の景気が回復するなら申し分ない。

 しかし、現実の経済は現実経済として、学生時代に学習したケインズ流の近代経済学の理論では、資本主義経済では緩やかな物価上昇を伴う、なだらかな経済成長によって経済は繁栄し社会は発展すると学んだものだ。第2次大戦後世界の資本主義経済は、このケインズ理論に添うように歩んで来た。

 事実これまで欧米のインフレ目標というのは、物価が上がってインフレが進み過ぎた結果、国民の生活が苦しくなるのを防ごうとの狙いで、前もってインフレが進み過ぎないように注意を払ってきたものである。それが、昨日の日銀目標は、まったくその逆の方針でありインフレへの誘導である。実際こんなレアケースは日銀にとって初めてのことである。

 幸いこの日銀のインフレ目標が株式市場で好感されたのか、日経平均株価は昨年9月1日以来の高値となり、円相場も円安となった。アダム・スミスの「見えざる手」を納得・理解し、「レッセ・フェール」の経済原論に異を唱えるような現実的な対応が実態経済にどんな効果を与え、景気の底入れに有効に機能してくれるだろうか。しばし注目してみたいと思う。

 それにしても数日前に国会の衆議院予算委員会で質問された、安住淳・財務相はこともあろうに円市場の国の介入の目安を問われ、いくらで介入し、いくらで止めると具体的な数値まで喋った。こんなことも過去にはなかった。どうも、ベビーギャング・安住財務相にせよ、民主党政権にせよ、発言が軽く些か浮き足立ってはいないだろうか。

 日本ペンクラブ例会に出席したが、今月は出席者が割合少なかったうえに、恒例の著名人によるショートスピーチもなかったので、いつになく盛り上がりに欠けた。5名の新会員が紹介されたが、その内2名は何と外国人で、その挨拶がぺらぺらの日本語なのには驚いた。日本ペンも国際的になったものである。

 一昨年9月の国際ペン東京大会の決算報告で大赤字を出した杜撰な会計処理を検証して元銀行マンの藤川鉄馬さんも、その解明と処理にはほとほと弱りきっていた。まだ、最終的な結論が出されるまでは時間がかかりそうで、いずれ全会員の前に詳細が明らかにされ、責任の所在もはっきりするだろう。一日も早くすっきり解明されることを期待したい。

2012年2月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com