毎年気になっていることだが、76年前の今日起きたあの歴史的事件についてマス・メディアがまったく報道しなくなったことである。言わずと知れた「2.26事件」である。高校日本史の教科書にも載り、青年将校の反乱という昭和史上衝撃的な事件であり、それ以後軍国主義がのさばりだしたきっかけにもなった大きな事件である。それが、今日の新聞には事件を想像させるような火の気もまったくなく、どうして事件を検証し戦争ムードの進行を反省させるような機会を「意図的に」失くすのか、メディアの考えていることがよく分からない。
そして今日2.26事件の代わりに、クローズアップされたのが東京マラソンである。2.26事件は話題にもならず、東京マラソンには多くの視線が集まる。東京マラソンは世界的にも市民マラソンとしては、今やニューヨーク、シカゴマラソンと並び大規模なものとなった。今日も3万6千人ものランナーが走った。
実は今日長男が東京マラソンに出走した。41歳なので、もうこれが最後だろうということから妻がぜひ路上で応援したいと言い出した。私は確定申告の手続き準備でとても応援どころではないと考えていたが、今朝になって妻の改めて行きましょうとの声に負け、折り返し地点の品川駅前の第一京浜道路まで出かけた。ところが、長男と応援場所について携帯で打ち合わせをしていながら、その疾走ぶりを見逃してしまった。中々遭遇するのは難しいものだ。
東京マラソンには3度目の出場だが、今年も前々回に続いて4時間内のゴールを目指したが、残念ながら記録は4時間3分だった。この市民マラソンの面白い点は、仮装で走るランナーである。十字架を背負い裸足で走るキリスト選手、お手玉をしながら走る選手、ゼッケン番号の上に「就活中」とPRしてあったり、新郎新婦の衣装で走るカップルが沿道から祝福を受けたり、また父子でともに走り、親は「父親」と、子は「息子」と書いた姿が微笑ましかったり、それぞれに個性的で面白かった。
それにしても、2.26事件よりも東京マラソンか。昭和は遠くなりにけりである。