今月15日日本ペンクラブ例会後のパーティで、上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン先生から23日発売の週刊誌「女性セブン」に取材記事が掲載されるので、読んでほしいと言われた。デーケン先生とは2日の日本旅行作家協会例会でも楽しい冗談を交わしたばかりだが、どんな内容の記事かとお尋ねしたところ、多岐に亘る内容とのことで読むのを楽しみにしていた。書店でどんな記事かチェックしようとしたところ、表紙が賑やか過ぎてチンドンヤ風で、一体どこに掲載されているのか見当もつかない。目次ですらすぐには見つからない。デーケン先生の記事が見つからないままともかく同誌を買い求めることにした。
若い女性向きの週刊誌というのは、薄々感じてはいたが、どういう風に読んで良いのか分からない。イラストと写真、そしてほとんど芸能人に関する記事が埋もれた中で、デーケン先生に関する取材記事を漸く見つけることができた。何と取材記事は7頁に亘って掲載され、すべての内容の中で最も格調の高い記事ではないか。
「アルフォンス・デーケン神父(79)、『‘手放す心’がもたらすよき死、よき生き方』」と題するものだった。先生の死生観と哲学を語っておられる。私もそこまでは知らなかったが、日本にはすでに50年間も住んでおられる。道理で日本語が上手なわけである。
記事では、デーケン先生は中年期には8つの危機があると述べておられる。8つの危機とは、①時間意識、②対人関係、③役割意識、④思い煩うこと、⑤平凡な人生、⑥価値観、⑦死に直面、⑧まじめになりすぎること、だそうである。そして、「老年期は第一の人生である学びの時期、第二の人生である働きの時期に次ぐ第3の人生です。高齢化社会を迎えた今、この老年期を豊かに過ごし、よい死を迎えるには、中年期からの生き方が重要です」と言っておられる。
カトリック神父であるデーケン先生の考え方を記された著書が、夫・大島渚監督の介護で悩んでいた女優・小山明子の気持ちを救ったそうである。
いつもニコニコして温か味のあるデーケン先生のお人柄を彷彿とさせるような言葉と内容である。この次お会いしたら、もっと突っ込んでお話してみたいと思っている。