1752.2012年2月29日(水) 閏日の銀世界に思う。

 昨夜半から雪が降り始め、今朝起きてみて松に被った白銀の庭に何とも言えない風情を感じた。「枕草子」であったか、「春はあけぼの~ 冬はつとめて雪の降りたるは言うべきにもあらず~」というほどにロマンチックな情緒がある。確かこの「つとめて」とは朝のことであったと思う。今年都内で本格的な降雪は2度目だそうだ。家の中で確定申告の書類整理をやっている分には雪に思いを馳せることもできるが、夕方近くまで降り続いていたので、道路や交通機関も影響を受け、通勤、通学の人は大変だったと思う。 

 ちょうど40年前軽井沢の雪の中ではロマンならぬ壮絶な銃撃戦が行われていた。あさま山荘事件である。あまりいい気分になれない事件だった。それにしても近年思い出したくない事件が増えてきた。まもなく東日本大震災1周年がやってくる。

 福島原発事故の検証を行っていた、民間の調査機関である「福島原発事故独立検証委員会」が昨日400頁を超える報告書を提出した。政府の御用学者や利害関係者が絡む事故調査委員会の調査だけでは真相究明が不十分との考えからである。この報告書の中で特に指摘されたのは、首相官邸の対応をめぐる検証で当時の菅首相と官邸のとった場当たり的、泥縄的な行動や判断である。その背景には、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、東電らの能力に疑問を持たれていたことが挙げられる。特に、前首相が知っている限りの知識を披露して、現場にまで細かく介入した行為を行き過ぎと断じた。確かに、菅前首相には原子力に関する知識があったのだろうが、事故現場で陣頭指揮をして、現場責任者が事故対策に当たるが如き行動が批判された。実際それまで現場の環境、機械類、従業員などをまったく知らない外部の人間が、原子力だけの知識を振り回したところで、現場にとっては迷惑千番で、混乱するばかりである。

 問題はこんな当たり前のことが分からない人が、現場を仕切ろうとしたことだ。それよりこういう現場感覚のない人物が国家のトップに居座っていたことだ。今日のNHK「クローズアップ現代」でも取り上げられ、この委員会の一員がアメリカの関係者にも取材していたが、日米の事故に対する認識と危機意識には大きな差があった。これは今もって解消されていない。

 いつまで経っても不安感が尾を引く原発である。

2012年2月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com