1758.2012年3月6日(火) イスラエルは本当にイランを攻撃するのか。

 噂が拡散していたイスラエル軍によるイランへの攻撃が現実味を帯びてきた。常識的にも倫理的にもとても考えられないことだが、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米してオバマ大統領と会って話し合い、その深刻な問題について理解を求めた。本心はともかく、半年後に大統領選挙を控えているオバマ大統領自身にとって、この時期に世界を揺るがせるような戦争なぞ歓迎できるはずもない。オバマ大統領は懸命に思いとどまるよう説得しているようだが、ネタニヤフ首相はその後開かれた全米ユダヤ人集会で、これまでイランが核開発を止めるのを待っていたが、これ以上あまり待てないと本心を露に語った。本気でやる気のようなのだ。

 イスラエルはこれまでも周辺国とのトラブルに際して攻撃的な姿勢を貫いてきた。核開発が疑われる核施設には空軍機による先制攻撃を仕掛け、相手国の出鼻を挫いている。イランに対しても過去の例から推して、攻撃を仕掛けることは充分考えられる。加えて今月2日イラン国会議員総選挙が終了したばかりで、保守派と見られていたアフマディネジャド大統領派より更に保守的な、最高指導者ハメネイ派が75%の議席数を得て圧勝した。ハメネイ師は平和のための核開発は中止しないと頑なに言い続けており、この発言に懸念を抱いているイスラエルが新たな動きに出る可能性も否定できない。まったく予断を許さない状態になってきた。

 もしイスラエルとイラン両国の間で戦闘が開始されたら、両当事国のみならず、それぞれの国を支援する国家が支援、介入して拡大し、第3次世界大戦の端緒を開く可能性も考えられる。イスラエル空軍の電光石火の早業的攻撃は、ダヤン将軍指揮の下に第3次中東戦争ですでに実証され、私自身まざまざとその戦果を見せつけられた。エジプト軍を僅か6日であっという間にやっつけてしまったのだ。実際あの戦争直後にシナイ半島砂漠上のカイロからスエズへ向かう列車の車窓から、木っ端微塵に壊滅されたエジプト陸軍戦車の累々たる残骸を、私はこの目ではっきり見たのである。  

 まだ戦争回避の希望と可能性は残されているが、日本から遠い場所であるにせよ、ドライな土地柄だけに一気呵成に勝負をつける危険と心配もある。何とか戦争だけは、回避してほしいものである。

2012年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com