1761.2012年3月9日(金) 東日本大震災1周年を前に何か忘れてはいまいか。

 昨日漸く来年度一般会計予算が衆議院を通過した。法案はそのまま参議院に送られるが、議員数のねじれにより否決されることは自明であり、衆議院決議優先による自動承認を待って来月成立することになる。これでやれやれと思いきや、この後消費税値上げ、国家公務員給与削減、子ども手当て法案等々が目白押しに控えている。東日本大震災の復興という大事な時に、震災関連の法律ですら中々通らない状態である。これは民主党の力不足なんて問題ではなく、今や政治家としての力量がひとりひとり足りないことが露呈されたのではないか。議員は寄り集まって丁々発止と派手にやっているように見えるが、所詮党内の内輪揉めと中身のない揚げ足取りばかりやっているようなていたらくだからである。

 それにしても民主党政権というのは期待外れも甚だしいが、その無定見ぶりも天下一品である。最初の鳩山首相の沖縄米軍基地を県外へと言い続けた空手形辞任、続く菅首相の震災復興つまづき辞任、そして野田首相の非力なリーダーシップによる政治の停滞など、とても国民の信頼を勝ち得るような施政は実現できていない。

 コロンビア大学名誉教授のドナルド・キーンさんが、昨日念願の日本国籍を得た。長年日本文化を研究してきたキーンさんは、東日本大震災に大きなショックを受けた。震災後日本を離れる外国人が多い中で、自分がお世話になった日本のために成すべきことは日本に留まり、日本人を励ますことだと悟ったキーンさんは、90歳にして日本人となった。日本語名は「鬼怒鳴門」というらしい。そのキーンさんが、震災後1年経って日本人の被災地支援に落胆しているという。震災直後は東京でも光が消えエレベーターも止まり、力を合わせて東北の人を助けていると感じたが、今は明るく必要のない電光看板がたくさんある。東京だけではない。もう忘れているのではないかと疑問を感じたそうである。

 5日の本ブログでも指摘したように、プロ野球オープン戦のナイターほど電力を無駄遣いするものはないと関係者に反省を促したばかりである。キーンさんに言われるまでもなく、震災後の電力消費については当事者がことさら配慮しなければならないにも拘わらず、誰ひとり注意をする者もいない。

 偶々今日のNHK「ニュースウォッチ9」で、作家高村薫氏がインタビューに応えていたが、みんなが復興についてよく分かっていないのではないかと疑問を呈していた。

 どうも思い違いや、忘却が蔓延り過ぎているように思えてならない。

2012年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com