1762.2012年3月10日(土) 役人が日本をぶち壊している。

 東日本大震災1周年を明日に控えて、このところ各テレビ局が連日のように震災関連番組を放映している。こう言っては申し訳ないが、これほど多くのテレビ局が震災特別番組を放映すると残酷な場面や悲劇が自然に目に入ってくるので、観るに忍びなく辛い気持ちになってついチャンネルを変えることもある。

 67年前の今日東京大空襲があった。国民学校入学直前のことである。日本の敗戦も間近に迫り、日本国中が追い詰められていた時に、首都東京の下町に米軍機が止めを差すように2時間以上に亘って無差別な焼夷弾攻撃を繰り返し、一夜にして10万人以上の死者を出した。隅田川を始め都内の河川は死体で埋まったという。

 明日は東日本大震災1周年となり、慰霊祭には体調の勝れない天皇陛下も無理を押して出席して犠牲者に追悼の言葉を述べられるという。周囲は天皇のお身体を慮って慰霊祭へのご出席を遠慮されるよう願っていたようだが、天皇ご自身の強いご意思で決断されたらしい。天皇は1日も早い被災地の復興を強く望んでおられる。

 しかし、昨日発表された原子力災害対策本部と政府・東京電力統合対策室の会議の議事録には失望した。震災後いち早くメルトダウンの懸念が出され、汚水対策が後手に回った様子も浮き彫りになっていたのである。部分的にしか分からないが、発言者の名前もはっきりしない。こんな国家の議事録があるだろうか。何せ議事録概要は職員のメモや非公式な文書などの雑記録をベースにしているというお粗末なカラクリがあったからである。しかも、先日アメリカ原子力規制委員会が公表した「福島第一原発事故」に関する公式文書が3000頁にも上るというのに、昨日発表されたものは僅か76頁で、後追いの復活作業で作り直したものである。これをもってしても彼我の認識度と信用度は違うし、わが国の議事録と称するものは遥かに低劣である。

 今度の震災に際し、ほとんどの公式会議で議事録が残されなかったという役人の無責任な手抜きから思うことは、日本は公式文書がなおざりにされ、何のために作成しているかということがはっきりしないことである。不思議なのは、専門家に任せてしまい役所は責任逃れだけを考えて公表に腰が引けていることである。従って国民に実態を知らせることを避けて、できるだけ真実を隠そうとする姿勢がありありと見られることである。

 今日の日刊紙に役人優遇のもうひとつのニュースが掲載されている。行政改革実行法案の中身が明らかになった。今更ながら天下り規制を厳しくして採用や昇格の抑制によって総人件費を削ることが目的との記事である。更に公務員OBに定年制を採用する案でもあるという。独法への再就職に制限を設け、独法役員に定年制を導入するという。つまり、逆説的に言えば、これまでは天下りは自由に、そして定年制はなく、給与は毎年上昇していたことを天下に晒したようなものである。役人天国ここに極まれりである。

 ここまでわが国を制度的にも、財政的にも、倫理的にもぶち壊してきた、反国家的犯罪を犯してきたのは、偉ぶっている傲慢な役人と、思考力のない私利私欲の政治家ではないか。これでは庶民は溜まったものではない。バカバカしいにもほどがある。

2012年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com