「むし歯予防デー」が6月4日とか、「いい夫婦の日」が11月22日であるとか、こじつけがどんどんエスカレートしているようだ。寡聞にして知らなかったが、今日「3月14日」は円周率3. 14に因んで「円周率の日」というのだそうであるが、それらしい企画とか、催しは一切ない。行き過ぎた悪ふざけに思えてしようがない。
昨日に引き続いて中国について厳しく感じたことを改めて採り上げてみたい。今朝の日経紙「春秋」によれば、ラオスでは人が集まれば親しく乾杯となるそうだが、ラオス国内ではこれまで中国による商業施設の建設工事が相次いで行われた。ところが、資本はもちろんのこと、労働者も中国からやって来た中国人ばかりで完成した後はそこに住み着いてラオスに実質的恩恵があまりない。ラオス人は中国については多くを語ろうとしないらしい。ビルマにおける建設工事も同じように行われ、ビルマにとってメリットがあるというより、中国にメリットが多い。ビルマ人も中国人に対して多くを語ろうとしない。アフリカ諸国における中国人の存在感や彼らに対する見方も冷めていて、最近では中国人が現地のアフリカ人に狙われるような物騒なケースも発生しているそうだ。どうして人助けをしているのにこんな不幸なことになってしまったのだろうか。その最大の原因は、中国人が他人を受け入れようとしない、その行動様式にあると思う。折角発展途上国に対して経済援助を行いながら、資金繰りから工事計画、雇用人事計画、完成後の使用方法などについて、あまりにもマイペースでやり過ぎて、現地人の声を無視する。結局完成した建造物は、中国人の、中国人による、中国人のための施設になったような印象を与えてしまう。
今中国は世界の各地でその国のために労を惜しまない活動をしながら、結果として中国のものを外国に造った形になっている。こうしたハード面ばかりでなく、ソフト面でも多くの国とトラブルを起こしている。知的財産の侵害、特許権登録問題、海洋資源開発、国境紛争、そのうえにシリアのアサド政権制裁の場で中国政府はロシアと並んで紛争解決のための国連介入に拒否権を発動する。果たしてこのパフォーマンスで世界が納得すると思うだろうか。そろそろ大国として誰からも尊敬される大人の態度を見せてほしいものである。
さて、夕方新宿で出版ニュース社の清田義昭社長と一杯やって延々3時間半に及ぶ懇親会になった。この間に千葉県東方沖で震度5強の地震もあった。そこで原発再稼動についてはお互いに絶対反対。レストランに行く前に三省堂書店へ立ち寄って先日発表された原発事故調査報告書(正式書名:福島原発事故独立検証委員会-調査・検証報告書)を買い求めた。これは一応政府から独立した組織なので、中立といわれメディアの評価は高いが、委員会のメンバーの顔ぶれを見ると果たしてそうなのか読んでみないと何とも言えない。
就いては私の方からトラック島大酋長のエッセイを単行本にする話も持ちかけたが、清田社長は海外旅行に際してその土地に関する大河小説を読み込んでおくことが大切という私の話に賛同され、むしろこういう土地を描写した大河小説の話をまとめた本が面白いと言っていただいた。これまでこの種の本は誰も書いていないし、確かに関心を呼ぶのではないかとも思う。だが、今まで読んだ書物を改めて読むことになると書き始めるまでに、少々時間がかかり過ぎる。これはちょっとタフな難題である。
清田社長が話された興味深い話は、読書好きの「ナベツネ」こと読売新聞・渡辺恒雄会長に2年前亡くなった作家・井上ひさし氏が読書についてインタビューするという企画話だった。井上氏が亡くなってこの話も消えた。ナベツネさん周辺の人はこの企画を承知していたらしい。確かに面白い話で、もし実現していたら清田社長が言われるようにナベツネさんもイメージ・アップしただろうし、大きな話題にもなっただろう。私自身もぜひ読んでみたいと思っただろう。良い企画だったのに惜しい話である。
清田社長とはもろもろの話をした。出版業界の生き字引のような方なので、話が多岐に亘り豊富で話題に事欠くことがない。私の旅行体験や、生き方、ホームページなどにも大変興味を持っていただいたので、また次の機会に3時間でも4時間でも話合ってみたい。
清田社長、今日は大変ご馳走になりました。