1768.2012年3月16日(金) 1人暮らしになった人と1人暮らしを好む人

 昨日の松本整形外科医のCRP結果にすっかり気分を良くして、今日は1ヶ月ぶりに痔の検査を受けた。前回の診断では今日の様子を見て2度目のジオン注射を試みるかどうかを決めようとの話だった。結局2度目の注射を打つことになった。やはりそう簡単に完治するようなものではない。これから1ヶ月後に改めて患部を診てもらうことになった。

 さて、日本社会に少子高齢化の傾向が表れてきたのは、割合最近のことであるが、その傾向の顕著な例として、東京都内に住む1家族(世帯)当たりの構成人員が2人を下回る1.99人という結果が示された。つまり、平均して1世帯に家族が2人はいないということである。かつてこんな寂しい家族像を誰が予想しただろうか。これは昭和32年に統計を取り始めてから初めてのことである。その大きな原因は一人暮らしの人が増えてきたことであり、老人夫婦の内連れ合いが亡くなってやもめ暮らしをする人が多くなったことが大きく影響している。最近では近所の誰しも看取られることなく、1人暮らしの老人の孤独死が目立つようになり社会問題化している。

 一方で都会に住む若者が結婚しようとせず1人暮らしを好む風潮のせいもある。高齢者のやもめ暮らしは、ある面で止むを得ない一面もあるが、若者の1人暮らしの生活は必ずしも人生のうえでプラス面ばかりではない。これについて若者にインタビューすると、自分の好きなように、誰からも指図や邪魔されずに自由に生活したいという甘ったれた声が多かった。これも自分の将来をあまり考えない現代の若者気質なのだろう。将来のことは2の次で、現状が楽ならそれを実践するというひとりよがりの傾向が見られる。

 しかし、この風潮には嫌なものから逃げるという逃避的心情が覗ける。自分が嫌いなことから逃避することもさることながら、他人が困っている場面でも援助の手を差し伸べようとの気持ちから逃げていることになる。人生には嫌なこと、真正面から見たくないもの、避けたいことなどはいくらでもある。嫌なことからみんなが逃げていたら世の中の問題は解決しないのではないか。また若者自身にも物事を解決する力が育たないのではないかと危惧するのだ。時には嫌なことから逃げないで正面からぶつかり、解決することによって人は少しなりとも前進することができる。一人で解決できないことでも、他人と協力することによって事態を打開する力を身につけ、ともに前進、向上することができると思う。苦しい現状から逃げることばかりでは、個人の能力も向上しないし、他人とのコミュニケーションも図れない。

 最近の若者の行動パターンを些か心配しているが、実際に統計上表れた1家族当たりの構成人員の減少を知って改めて憂慮している。

 今朝詩人であり、評論家でもあった吉本隆明氏が亡くなられた。享年87歳だった。半世紀前の学生時代に月刊誌「世界」を通して氏の論文を読んだものだ。60年安保闘争では、抗議し行動する学生にシンパシーを示していた。理論家ではあったが、それでも能書きより行動を買ってくれた。その意味では現場感覚の分かる思想家だった。過去に丸山真男ら進歩的知識人を批判したり、その一方で近年はイラストレーター・糸井重里氏らとも対談してサブ・カルチュアにも関心を示したユニークな一面もあったようである。論客がまたひとり逝った。

2012年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com