1773.2012年3月21日(水) 原発再稼動の動きに警戒警報!

 福島第一原発の事故以来、原発再稼動か脱原発か、の議論が喧しい。今のところ野田政権は脱原発依存の方針を示しているが、どこまで本気なのか疑わしいと思っていたところ、一昨日の朝日夕刊が第一面の「核燃料サイクル認可進む」と題する記事で核燃料サイクルに関わる事業にゴーサインが出されていることを明らかにした。メディアが暴露しなければ分からない。これには一瞬国にだまされたような気持ちになった。

 しかもOKのサインを出したのが、4月に原子力規制庁が発足するのに伴って組織が廃止されることに決まっている、経産省原子力安全・保安院だというのだからふざけている。即ち15日保安院は電源開発の青森県大間原発建設工事に関わる変更計画申請について、技術上の基準に適合しているとして認可したのである。これでは朝日も指摘しているように完全に「駆け込み認可」ではないか。

 さらに記事内容をよく読んでみると、これは東日本大震災によって工事がストップしていたが、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を100%使用する世界で最初の原発で、核燃料サイクルに関わる中核施設のひとつでもある。実は、保安院は先月にも日本原燃のウラン加工施設の遠心分離機の設置を認可している。

 今最も注目されているのは、青森県六ヶ所村の日本原燃が進める国内初のMOX燃料火口工場の建設申請が認可されるかどうかであり、仮に認可されればMOX燃料の加工や検査、貯蔵に関する工事が着手できることになる。これもすでに昨年2月申請が出されたが、震災の影響を受けて審査が遅れているものだ。

 現在核燃料サイクルについては、これまで通り原子力政策の柱に位置づけるべきかどうかを国の原子力委員会が議論している最中である。こんな時期に安全性が完全に担保されていないのに、なぜ先を急いで申請を認可しようとするのか。メディアが報道し、国民が騒ぐと自分たちの思い通りにならないと考える原発推進派グループがこっそり動いて、駆け込み認可を策しているとしか考えられない。元々推進派だった保安院が、組織の解散前に手を打って自分たちの意思を強引に押し通したのだろう。国民に真実を明かさず、秘密裏にことを進める。柏崎・刈羽原発の放射能漏れ、原型炉「もんじゅ」事故、東電福島第一原発事故など最近の大きな事故を考えると、原発再稼動は国民の理解を中々得にくい。ましてやリサイクルとは言え使用済み核燃料の処理を行う施設を認めるということは、いずれ使用済みの廃棄物を排出する原発の稼動を容認するということである。これはそう簡単に認めるわけにはいかない。

 それにしても菅前首相の脱原発宣言、それに引きづられるような野田首相の脱原発依存の方針、ところがそれらから別の軌道を歩むような、一部の利己主義的政治家、したたかな経産省、原子力村の学者、利益本位の電力会社、景気浮揚だけを考える経団連らの中には、政治的画策と陰湿な交付金のばらまきによって、国民の目を避けるようにして巧妙に原発容認へ世論を持っていこうとする一部の勢力がいる。われわれ国民はよほど注意を払い油断ならない彼らの動きをしっかり監視しなければならないと思う。

2012年3月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com