消費税値上げは民主党内において大筋で決まっているが、それでも党内には値上げはマニフェストに反するとの声が根強く、反対を唱える小沢一郎元代表らのグループや、条件付容認グループなどがあり政策実行は遅々として進まず、政治の停滞が指摘されて久しい。消費税一件だけでもこんな有様だから、多くの難問を抱えて政治停滞状況は一向に解消されず、民主党政治の劣化ぶりは目を覆うばかりでとても見ていられない。沖縄米軍普天間基地移設、沖縄駐留米海兵隊移転、環太平洋経済連携協定(TPP)、震災復旧、北朝鮮弾道ミサイル発射、税と年金の一体改革、AIJ投資顧問会社の年金消失、原発停止と原発再稼動、東電電気料金値上げ等々、難題が目白押しであるが、民主党政権としては一向に打開の道が見つけられず、昨日は野田首相が消費税値上げについて政治生命を賭けてやるとまで言い出す始末である。増税のための条件をつける、つけないという党内派閥間の未調整で、安易に生命を賭けるような馬鹿な発言はしないでもらいたい。
どうも民主党内には、異分子が多すぎる。今更ではあるが、民主党員には勉強不足のうえに政治家としての志と心構えに欠けるところが多すぎるのではないか。現在も険悪になりつつある中国との友好関係を改善する意向の下に民主党幹部が北京入りしたが、意見を異にするグループが別々に訪中して国際的恥さらしを演じて呆れられている。次期国家主席就任が予定されている習近平・副主席を、あるまいことか輿石東・幹事長と鳩山由紀夫・元首相が別々に訪れ、1時間の時差をつけて各50分間会談するという茶番を演じているのである。中国側も「同じ党内なのになぜ調整しないのか」と流石に困惑の体である。党内調整もできず、外国に呆れられているのが、今の民主党である。党の代表団が外国の要人に会うことですら党内を一本化できないようでは、もう民主党は駄目かも知れない。これだから日本の政治が一向に前へ進まないわけだ。
この間隙を縫って新興勢力の大阪維新の会が大きく勢力を広げつつある。異論もあるが、何と言っても野田首相と違い、橋下徹・大阪市長のリーダーシップがしっかり確立され、政治団体として政策目標がしっかりしている。乱暴な自己主張が強く少々やり過ぎの感があるが、本音をズバッと主張するところが、現今の国会政治のだらしなさに引き比べて大衆受けしているようだ。
昨日は大阪維新の会が主宰する「維新政治塾」が開講したが、国内外から2千余名が参加した。橋下氏は衆議院解散と次期衆議院選へ向けていよいよアクセルを踏んだようだ。これも国政が劣化して前へ進まず、しびれを切らした国民の声が集約された結果だと思う。過去に名を成した政治家の中で、橋下氏が敬意を払っているのは、発言力が強く、リーダーシップを発揮した政治家であり、中でも個性の強い石原慎太郎、小沢一郎、小泉純一郎氏らだそうである。何となく分かる気がする。
日本の政治を日本人が誇りに思えるようになるには、相当時間がかかるようだし、下手をするとそんな可能性すらないかもしれない。寂しいことである。
さて、2年ぶりに大阪で開催された大相撲春場所が今日千秋楽を迎えた。久しぶりに充実した相撲が行われ、優勝決定戦の末横綱白鵬が逆転で22度目の優勝を飾った。昨年はスキャンダル続きで相撲界も苦難の道を歩んだが、今場所勢いを取り戻した相撲人気を今後同じようなトラブルで挫折させないよう、相撲界を挙げて努力することが大切である。
大阪の春場所と言えば、懐かしい思い出がある。京都の中学校を卒業した昭和29年3月に優勝がかかった大阪府立体育館で千秋楽を観た。大関三根山が優勝してその三根山に握手してもらい浮かれて、そのまま優勝パレードについて回った。今思えば、あまりにも無邪気で幼稚な行動だったが懐かしい。あれから58年が経つ。