毎度のことで今では政府・民主党の考えや政策実行についていちいち文句を言うのも馬鹿馬鹿しくなってきたが、昨日発表された大飯原発の再稼動に合せた安全基準と高速道路の建設工事再開に関して、いい加減に政治家と役人の判断でことを進めても良いのだろうかと思うくらい簡単に決めている。
その陰で野田首相を始め、民主党内外から中止を求められていた鳩山元首相のイラン訪問については、鳩山氏は周囲の反対の声なぞどこ吹く風とまったく意に介さず、押し切るように昨晩イランへ向けて飛び立った。ルース・米駐日大使も懸念を表明している。同行したのは、大野元裕・民主党参議院議員である。かつてフセイン・イラク大統領時代に中東問題専門家としてテレビで分かりやすい解説をして独壇場だった中東調査会主任研究員だったが、今やどうしようもない鳩山元首相のメッセンジャーボーイに成り下がったか。
もう民主党内は国家国民のことを考えず、やりたい放題のろくでもない議員しかいない。党内は統制が取れず滅茶苦茶である。
さて、そのどうしようもない政権政党・民主党が原発再稼動について安全対策の暫定基準を決めた。それは3点ある。①地震・津波による全電源喪失を防ぐための安全対策、②福島原発を襲ったような地震・津波でも冷却が続き、燃料損傷に至らないと国が確認、③保安院が求めた原発事故に関して30の安全対策の実施計画を電力会社が明示、である。安全対策を重視することは国として当然である。だが、この3点を地域住民、国民はすんなり納得して賛同してくれるだろうか。地域住民の同意を得られて初めて稼動へ向けて動きだす。
ところでこの原発再稼動安全基準には、これからの日本のエネルギー源として果たして原発が必要であるかどうかの議論がまったくなく、「原発ありき」を前提に再稼動を急いでいる様子がありありと見える。大飯原発から30km圏内にある、滋賀県の嘉田由紀子知事は福島の原発事故の検証も済んでおらず、安全が確認されていない中で再稼動が話し合われること自体が理解できないと憮然たる表情であり、同じように府内の一部地域が30km圏内に含まれる京都府の山田啓二知事も、現時点では反対を唱えている。話し合いをするためにすぐさま地元を訪れると言っている豹変王子の枝野幸男・経産相も些か拙速ではないだろうか。
もうひとつ問題なのは高速道路の建設である。マニフェストで「コンクリートから人へ」を旗印にして、高速道路の建設を凍結していたが、またもや公約を無視して巨額を投じて高速道路を建設すると恥ずかしげもなく公表した。今度は「人からコンクリートへ」に回帰したのだ。国民を舐めるにもほどがある。
新規に作られる道路費用は足し算でざっと見積もってみたところ3兆8千億円もかかる。こんな資金がどこにあるのか。国に金がないから消費税を値上げしようとしているのではないか。ところが、ない袖は振れぬどころか、袖の一部はあったのである。しかも一部とは言え、国土交通省がこっそり隠していた埋蔵金まがいの金が3500億円もあった。借金返済のための金が金利低下により溜まった金だというのである。こんな国民が知らないずるい蓄財の手があるのか。国民の金でもいつの間にか省庁のものになる。本来は国庫に返すべきものであり、役人の一部の考えでうやむやに使ってしまうのは許せない。これを消費税分に充当するなら、少しは楽になったであろう。
役人は公僕ではなく常に悪事を企み、政治家はやるべきことをやらない。これでは日本は救われない。