13日金曜日が北朝鮮にとっても縁起の良からぬ日だったのかどうか、大騒ぎをしていた北朝鮮の核ミサイル打ち上げは見事に失敗した。予定日に入った昨日は打ち上げられず、明後日の金日成「永遠の主席」生誕100周年までの間に打ち上げると発表して、国際社会から大いなる顰蹙を買っていた長距離弾道ミサイル打ち上げだったが、発射後1分余後に黄海上で砕け儚くも海の藻屑と消えた。この打ち上げにかかった費用が700億円近いとも言われている。国民の食料費の1年分とも3年分とも言われる大金である。あの貧しい国が、貧困に喘ぐ国民を尻目に世界中から非難されているミサイル打ち上げだったが、とどのつまり失敗して面子は丸つぶれで、貴重な国の財産も無駄にしてしまったのである。これで金日成の誕生祝いにもケチがついてしまった。
だが、今日人民広場では馬鹿でかい金日成、金正日父子の2つの銅像を披露し、同時に開催された最高人民会議で金正温・第一書記は国防第一委員長に就任し、国、党、軍の最高指導者の地位に就いた。それでもミサイル発射失敗は今後労働党内部、また軍内部で責任問題が浮上するのではないかと見られている。
そもそも北朝鮮が、宇宙開発のためのロケット?打ち上げは自分たちの権利であり、他国に干渉される筋合いではないと再三再四強弁し、金日成大学学生も同じことを繰り返し主張しているが、自分たちの権利行使のために他国にいかなる迷惑をかけても良いと主張するつもりなのだろうか。相変わらず、自分たちの論理、主張だけを繰り返す北朝鮮の傲慢さは消えていない。
さて、これまで頑なに秘密主義を押し通し、唐突に世界に衝撃的なニュースを流すのを得意技としてきた北朝鮮が、自信を持って打ち上げたはずの今回の打ち上げが一瞬にして失敗となり、指導層にとっては大きなショックだろう。今までにないほどおおっぴらに事前PRをし、世界中のメディアを発射場に招いて公開し、世界にそのミサイル開発の技術力を誇示しようとした。だが、結果的には失敗して赤っ恥を掻く羽目になってしまった。午後には朝鮮中央テレビで失敗を認めた。実は、北朝鮮では2006年、2009年のミサイル発射と同じように、この核ミサイル打ち上げ成功の暁には、さほど日時を置かないで核実験を行う予定だったらしい。こういうことになって、しばらく核実験どころではなくなったのではないだろうか。しかし、他の諸外国とは社会常識や思考回路が大きく異なる北朝鮮であるだけに、意に介さずこれはこれで実験に踏み切るかもしれない。
ところで、今朝7時38分ごろに打ち上げたとの情報をキャッチした国の機関は、その数分後に失敗したとの情報を入手できず、むしろ韓国やアメリカから失敗のニュースを手に入れたようだ。心配されていた沖縄の先島諸島では、詳しい情報が入らず、大分時間が経ってから失敗の事実を掌握したようだ。こんな状態だからまた機密保持だとか、インテリジェンスの問題とやらで物議を醸すのではないか。
各国とも国連決議違反として北朝鮮に制裁を課す動きがあるようだが、取り敢えずわが国でも衆議院では全会一致で北朝鮮への抗議を伝えることになった。
ついては、昨日衆議院で郵政民営化見直し法案が通過した。その内容についてあまり詳しく承知していないが、7年前に国民の圧倒的な支持を得て成立した法案が、与野党の立場が入れ替わって今度は見直し案が通る。しかも、当時の与党が野党になって与党案に同調する。これは一体どういうことなのか。
当時の小泉純一郎首相が郵政民営化に賛成か反対か、民意を問いたいと述べて2005年9月に総選挙を行い、自民・公明党が327議席も獲得するほどの圧倒的な勝利を収めたのではなかったか。完全に国民に支持されたと言えると思う。
ところが、新法案は小泉元首相が唱えた「完全民営化」から大きく後退する内容である。その後政権交代したために政権政党・民主党が小泉案に異議を唱えるのは理解できる。だが、どうにも納得の行かないのが、これに同調した自民・公明の対応である。自民党内では本案に反対だったのは、全議員中僅か4議員だけだったという。小泉首相に陰の如く付き添っていた武部勤元幹事長ですら賛成票を投じた。議案の中身云々より、政治家として自分たちの豹変した態度が国民を欺き、恥ずべき行為であるとは思わないのだろうか。法案自体の内容より、態度を豹変させるご都合主義の国会議員こそが信用ならないのだ。こういう二枚舌を駆使する議員を監視して、うそつきが身を滅ぼすということを教えてやらなければならない。
こんな厳しいご時勢で増税論議の最中に、赤坂の議員宿舎の家賃が値上げではなく、値下げされるそうだ。すでに議員特権と批判されるほど市場価格に比較して安い家賃(3LDK、約80㎡で月8万4千円)を、時節柄を考えず月8千円も値引きするのだという。こんな恥知らずな汚い手があるか。これが現今のずる賢い政治屋どもの行状である。