1804.2012年4月21日(土) IMF資本増強に割り切れなさ

 借金だらけのわが国が苦しい財政事情の中で、思い切って国際通貨基金(IMF)資本増強のため、加盟国の中でユーロ圏諸国合計拠出額に次ぐ大判振る舞いの600億ドルを拠出することになった。ギリシャ、イタリアに続いてスペインの財政状況も怪しくなってきた。経済危機がヨーロッパ中に拡大することを恐れたIMFが基金強化を打ち出していたが、それに即座に呼応したものである。

 これにより一時的にせよ、ヨーロッパの経済危機が遠ざかるならそれで善しとすべきだろう。今回のIMFの拠出要請に対しては、最大の拠出国であるアメリカが国の逼迫した財政事情から議会の了承を得られず、当初から資金を出さないと発表していた。これに対して日本は比較的早い段階で相当な拠出をすると匂わせ、日本が主導権を取ったせいで全体の目標である、5千億ドルに近い4千3百億ドルを集めることができたとラガルド専務理事はすっかりご機嫌である。

 日本の多額の拠出は大きな国際貢献には違いないが、どうもすんなり納得することはできない。それは、世界最大の経済大国であるアメリカがこの追加資金を出さなかったことと、同じく第2位の経済大国である中国が渋々拠出にOKサインを出したが、その金額は未定であり、国際社会で毎度強い発言権を発揮する両国が、新興国がなけなしの財布をはたいてまでも拠出する中で他国の経済危機に際して後ろ向きの姿勢を取っているのはいかがなものか。

 この中で日本の安住財務相はかなり早くから拠出を明言していた。どこまで話を詰めて結論を出したのか分からない。いい顔を見せるために率先して苦しい財布からひねり出したと思えてしようがない。もちろん狙い通りとなったラガルド専務理事は日本を褒めちぎっているが、それを受けて安住氏は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「日本が先駆けて資金拠出を表明した成果があった。大きな貢献を果たせた」と述べた。この言葉にもやや引っかかる。その通りではあるが、大臣は日本の財政も逼迫して、借金では先進国中最悪であることを忘れている。

 日本は資金拠出は拠出として、それよりアメリカを説得して拠出させるなり、金満国家のくせにいつも資金を提供しようとしない中国を、もっと思い切った資金提供をしてくれるよう説得することに一層力をつぎ込むべきではなかっただろうか。それがベビー・ギャング、安住財務相のなすべきことではないのか。そうした外交努力は残念ながら、まったく見られなかった。

 

2012年4月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com