1814.2012年5月1日(火) 高速バスの安全管理に手を拱いている役所

 一昨日深夜群馬県藤岡市の関越自動車道と信越自動車道の分岐点辺りで、観光バスが壁面に激突し、防音壁を車体がノコギリを引くような形で破壊し、7名もの死者を出し、その他の乗客全員が重軽傷を負う悲惨な事故を起こした。

 かつてバスを手配して旅行を企画した立場から感じることは、随分ツアーバスが増えたということである。昔は請負団体旅行のためにバスを手配したが、今では単なる輸送のためのバス手配が主流を占めているようだ。交通費としても航空機、鉄道に比べて安く、利用者は年々増えている。

 最近では僅か数年間で利用者数が230倍に増えたというから驚く。その利便性、低価格に影響され、当然歪も生まれ、それが今回の事故のような形につながるケースが多い。とにかくツアーを企画する旅行会社がバス会社に仕入値段をたたく。バス会社はコストダウンのため、無理な運行を行うようになる。それが今回問題になっている、深夜バスの運転手が一人か二人かという問題である。この事故では途中休憩を取りながら深夜金沢から東京ディズニーランドまでたった一人のドライバーが運転してくる予定だった。

 今日になってその無謀とも云える手配ぶりが問題になった。谷本石川県知事も、夜行バスの運転手が670km以内なら違法ではないというのは何を根拠にしているかと問うている。流石に総務省も是正するよう発言したが、本家の国土交通省は、いくらルールを決めても守られない規則を作っても無駄だというような発言をしている。国交省は安全のための規則なんか決めなくても良いと考えているのだろうか。常識的に考えても一人の運転手が深夜に東京から青森まで670kmを走行するといのはちょっと無理ではないか。

 監督官庁のお役所がこんな感覚で行政をやっているのだから、事故がなくなる筈もない。途上国辺りでは、しばしばバス車両や道路状況などハード面の不備により事故につながる恐れを感じることが多いが、わが国の場合ではむしろソフト面の不具合で大きな事故を呼び込む可能性が高い。

一度国交省のお役人に自家用車でもよいから、深夜一人で東京から青森までドライブして感想を聞いてみたらどうだろうか。

2012年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com