天候が昨日から崩れてきたが、今日は降り出した雨が時間の経過とともに本降りになってきた。その中を渋谷「ハチ公」前でベオグラードから一時帰国中の山崎洋さんと待ち合わせ、そのまま地下鉄半蔵門線で神田神保町の出版ニュース社へ向かう。アポを取っていただいた同社清田義昭社長にお会いして、山崎さんが日本語に共訳した、セルビアの叙情詩人ニェゴシュの「山の花環」と「小宇宙の光」の日本語文庫本出版について、清田社長の出版へ向けた戦略とお考えを伺い、同書出版に関してご協力をお願いした。山崎さんとしては作品自体がセルビアでは国民誰でもが知っている国民的英雄の著作なので、日本の出版社もそれなりの大手有名出版社を望んでいる。感触としては、まず岩波書店に、そして中公文庫に話をつないでもらうことになった。希望通り話が進行すれば、御の字である。清田社長には無理なお願いをしたが、快く引き受けていただきありがたいと思っている。吉報を待ちたい。
その後ゼミの赤松さんを呼び出して銀座「ライオン」で会食をする。3月にベオグラードでコンサートを行うに当たって事前にヴァイオリニスト豊嶋めぐみさんに、演奏曲「慶應義塾塾歌」の楽譜とテープを提供してくれたのが赤松さんだ。幸いコンサートは盛況だったという。赤松さんは亡くなられた芸大出の母上を始めとして音楽を趣味としている音楽一家で、クラシック曲ばかりでなく他のジャンルすべてに精通している。
3人で思いつくまま自由に話をして実に気分の良い一日だった。
さて、来月ヨルダンへ行くことを決めた。もともと今年中に訪れたいと思っていた。実に45年ぶりである。観光地としては世界遺産ぺトラ遺跡があるが、どちらかというとヨルダンは特殊な国であり、昔と比べて少しは治安が安定してきたとは言え、今も北隣のシリアが内戦状態にあり治安は完全に安心できる状態とは言えない。それでも今度はパレスチナ紛争の相手国イスラエルもちょっと覗いて来てみたいと思っている。以前からパレスチナ問題を考える時、アラブ諸国側からばかり見るのではなく、対峙国側からの視点も必要だとは思っていた。その点で今回の旅行は良いチャンスだと考えている。やはり45年ぶりにかつて戒厳令下の国で身柄拘束された都市を再び訪れるというのは興奮するし、緊張もする。ヨルダンはどう変わっただろうか。或いは変わってはいないだろうか。楽しみである。