1817.2012年5月4日(金) ビルマは民主的改革路線を歩めるか。

 先月行われたビルマ議会の補欠選挙で、アウン・サン・スー・チーさん率いる国民民主連盟(NLD)が圧倒的な勝利を収め、スー・チーさん自身も悠々当選した。晴れて国会議員となった彼女は議会へ登院するかと思いきや、登院を前に現行憲法を護持するとの宣誓文を読み上げることについて、「護持」を「尊重」に変えるよう要求して暫し宣誓を拒否した。スー・チーさんにしてみれば、非民主的な現行憲法を改正することを目指している以上容易に妥協できなかったわけである。しかし、その後支持者からとりあえず議員になることを勧められ、不本意ながら宣誓文を読み国会へ登院した。

 ビルマ政府への経済制裁を課している先進諸国は最近のビルマ政府の変身ぶりを見て、英米を始め制裁解除の動きを見せている。だが、議員総数のうち僅か6%程度のNLD勢力がいくら正当性を主張しても、所詮選挙で選出されない軍出身議員</B>が幅を利かせる国会では、スー・チーさんたちの声は埋没しかねない。民主化のポーズを取るティン・セイン大統領も訪日してビルマの経済開発に対する日本政府の援助取り付けに躍起になっている。一方、亡父アウン・サン将軍と親密だった関係から日本に支援者の多い、スー・チーさんも今秋来日が予定されている。経済界もビルマ経済への投資に積極的な活動を始めた。元々歴史的にも日本とのつながりが強く、親日的なビルマにおける日本企業の投資はビルマで期待され、ビルマ経済を発展させることは間違いないと思われている。かつては、諸外国の中でも心情的に最も固い絆で結ばれていたのが日緬関係だった。親密な友好関係が途切れて25年もの歳月が経つが、幸いにして仄かな復活の芽が芽生えてきたのは喜ばしいことである。

 日本政府としては、過去において返済されないままに残されていた3千億円の円借款を思い切って放棄し、改めて円借款再開に踏み切るという。財政が豊かではないわが国も随分思い切ったことをするものだと思う。もちろん反対するわけではないが、どうも結論先にありきの感が拭えない。放棄する円借款3千億円のうち、1千7百億円は向う1年間のビルマ政府の改革努力を見て決めるという。ビルマの民主化次第だが、ビルマの再生に日本が力を貸してあげられるのは、ビルマとの長くプライベートな交流史を抱える私にとっても嬉しいことではある。

 さて、昨日ニューヨークのサザビーで絵画のオークションがあり、1枚の絵画が史上最高額で落札されて大きな話題を呼んでいる。その落札額が何と約96億円というのだから驚く。その名画とはノルウェイのエドヴァルド・ムンクの作品「叫び」である。一時盗難に遭ったが、その後発見されたものである。1998年にオスロのムンク美術館で鑑賞したので、私はその作品だとばかり思っていたところ、さにあらずこの「叫び」には油絵、テンペラ画、リトグラフ、パステル画など5点があるそうである。私がムンク美術館で観たのは、その中のひとつのパステル画だった。それにしても一度観たら絶対忘れることがないほど強烈に脳裏に焼き付けられる。その点で本物を観られたというのは、幸せだと思う。

 先日プロ野球の北海道日本ハム・ファイターズの稲葉篤紀選手が史上39人目の2000本安打記録を達成した。そして、今日東京ヤクルト・スワローズの宮本慎也選手が40人目の2000本安打達成選手となった。新潟に住む二男が妻子を連れて神宮球場へその試合を観戦に行った。偶々わが家に単身居候中の長男が弟家族に合流した。朝から雨が降って試合開催が危ぶまれたが、何とか試合が行われ記念すべき宮本選手の記念的大記録を見られて息子たちは幸運だったと思う。

2012年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com