1819.2012年5月6日(日) 国は原発をどうしようというのか?

 原発が止まった。これで国内50基の原発、すべてが止まったが、これは実に42年ぶりのことである。今朝の新聞では原発ゼロ運動の大きなうねりと小さな「再稼動」の声が、大きく取り上げられている。昨日の本ブログにも書いたが、原発は危険だから全廃へという運動の一方で、遠慮がちながら現在の日本経済を衰退させないためには、安全性に充分注意しながら再稼動すべしとの相対する意見がある。

 私は個人的には原発は絶対廃止すべきと考えているが、その根拠を挙げてみたい。

 まず、原発は福島原発で見られたように「想定外の危険性」、なかんずく放射能漏れの可能性を常に内包し、絶対安全ということはあり得ない。いつか再び第二の福島事故が起きる。第二に経済が後戻りするというが、相変わらず無駄に電気を使用している現状に鑑みて、節電しながら新エネルギー開発を進め、それでもなお経済後退であるようならそれも受け入れざるを得まい。第三に原発稼動は現状では使用済み核燃料の処理ができないという深刻な問題を抱えており、現時点では処分方法が見つからず、そのまま10万年の長期間いずこかへ埋蔵することになり、これが極めて危険なことである。

 これらの疑問について、現状は再稼動賛成派の人たちから納得のゆく説明がなされていない。いわんや政府からは、賛成なのか反対なのか、明確な考え方を聞いていない。民主党歴代総理のうち、鳩山元首相は原発推進派だった。菅前首相は脱原発で再稼動に反対だった。野田現首相は「減原発」と言いながら、大飯原発再稼動のために暗躍しているように思えて仕方がない。同じ党の3人の首相がそれぞれ意見が異なるのだから、一貫性のある方向性はあまり期待できない。国に原子力政策の青写真がまったく見えないのが無責任であり、国民としては殊更気になる。

 一体全体政府は国民にとってこの大事な問題をどうしようというのか?

 イギリスの老舗高級被服ブランド‘Aquascutum・アクアスキュータム’が先月破産申告したことは寡聞にして知らなかった。今朝の日経にかなり大きなスペースを割いて関連記事が掲載されていたが、私自身今はあまり着用することはなくなった。それでも3着のトレンチコート、ロンドンで買ったアクアスキュータム2着とニューヨークでバーバリー1着を手に入れた。

 あまり衣装に思い入れをするとか、お金をかけるということはないが、それでもかつてそれぞれの歴史と品質の良さを勧められ、つい誇らしい気持ちになって手に入れた一品である。残念ながらアクアスキュータムは近年販売不振が続いて、ついに破綻の淵に落ち込んでしまった。歴史的にアクアスキュータムはバーバリーと同じ時期に創業され、クリミヤ戦争でその防水性を実証し、高く評価され、英国王室御用達とまでなり、チャーチルやサッチャー元首相らも愛用した名品である。一時日本のレナウンが買収したが、事業は回復せず、再びイギリス企業の手に戻った。結局高級ブランドの戦略も時流と消費者の嗜好に付いていけなかったのだろうか。幸いアクアスキュータムの凋落を尻目に、ライバル企業・バーバリーは好調を維持しているようだが、何とかアクアスキュータムに復活してもらいたいものである。

2012年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com